感染症対策研修と訓練、年間の回数をサービス種別ごとに確認する

「今年は感染症の研修、もうやりましたよね」で止まっていませんか

年度の終わりに近づくと、管理者から教育担当に「感染症の研修、今年はやりましたか」と声がかかることがあります。答えが「はい、1回やりました」で終わっていると、少し立ち止まったほうがいいかもしれません。感染症対策の研修と訓練は、多くのサービス種別で「年に複数回」が求められているためです。1回やって満足していると、気づかないうちに未実施の状態になっていることがあります。

通所介護を中心に事業所を運営していると、感染症対策の研修と訓練は毎年恒例の行事のようになりがちです。ただ、恒例だからこそ「去年もやったから今年も同じでいい」と流れやすく、回数や対象者の記録が曖昧になっている事業所を見かけます。まずは自分の事業所が何回、誰を対象に、何を実施すべきなのかを確認するところから始めるのが安全です。

サービス種別ごとに必要回数を確認する

感染症対策の研修と訓練は、サービス種別によって求められる回数や実施方法の細かい違いがあります。通所介護では、感染症の予防およびまん延防止のための研修を職員に対して定期的に実施することと、あわせて訓練(シミュレーション)を行うことが基準に盛り込まれています。訓練は、実際に感染症が発生した場合を想定した対応の確認という位置づけで、研修とは別に数えるのが基本です。

自費の訪問リハビリのように介護保険外で提供しているサービスについては、法令上の実施義務がそのまま当てはまるわけではありません。ただ、利用者のご自宅に訪問する以上、感染症対策の考え方や基本的な対応は職員全員が理解している必要があります。義務がないからやらなくてよい、ではなく、事業所として自主的に年間計画に組み込んでおくことをおすすめします。

具体的な回数については、サービス種別や自治体の解釈によって細かい違いがあるため、必ず指定権者に確認したうえで年間計画を組むようにしてください。「去年これでよかったから今年も同じ」という判断は、思わぬ見落としにつながります。

研修と訓練は別のものとして数える

現場でよくある勘違いが、「研修をやったから訓練もカウントしてよい」という考え方です。研修は知識や手順を確認する場、訓練は実際に体を動かして対応を確認する場という違いがあります。たとえば、防護具の着脱手順を座学で説明するのは研修に近く、実際に防護具を身につけて、模擬的な対応の流れを職員同士で確認するのは訓練に近い内容です。

年間計画を立てるときは、この2つを別々の項目として書き出しておくと、実施漏れに気づきやすくなります。「研修○回、訓練○回」と分けて記録しておけば、年度の途中で振り返ったときに「あと何回必要か」がすぐに分かります。逆に、研修と訓練をまとめて「感染症対策研修」という1つの項目にしてしまうと、片方だけ実施して終わってしまうことがあります。

研修の実施方法についても、集合研修だけにこだわる必要はありません。シフトの都合で全員が同じ日時に集まれない事業所も多く、そうした場合は、職員がそれぞれのタイミングで読んで学べる形式を組み合わせるのも一つの方法です。福ひろばラーニングは読むかたちのeラーニングで、7分で読み終わるコースを職員が空いた時間に受講できるようになっています。感染症対策の基本を確認する研修の一部として、こうした形式を組み合わせている事業所もあります。ただし、訓練にあたる部分は実際に体を動かして確認する必要があるため、研修と訓練の両方を年間計画に位置づけておくことが大切です。

まとめ

感染症対策の研修と訓練は、サービス種別によって求められる回数が異なり、研修と訓練は別のものとして数える必要があります。回数の詳細は指定権者に確認したうえで、年間計画に「研修○回」「訓練○回」と分けて書き出しておくと、実施漏れに気づきやすくなります。集合研修が難しい場合は、読むかたちの学習を研修の一部に組み込みながら、訓練は実際に体を動かす形で計画するのがおすすめです。

出典・参考

▶ 介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修資料・動画(厚生労働省)

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

▶ WAM NET(福祉・保健・医療の総合情報サイト)

※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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