年間研修計画の立て方|月ごとのテーマ割り当て順と事業所別に変える視点
4月にまとめて作った計画、8月には誰も見ていない
年度が変わるタイミングで、研修計画を一気に作る事業所は多いと思います。前年の計画をコピーして、日付だけ変えて配布する。ひな形通りに12カ月分を並べて、管理者としてはひと安心。ところが夏を過ぎたころには、誰もその表を見ていない、というのはよくある話です。
原因の一つは、テーマの並べ方に理由がないことです。何月にどの研修をやるかが、単に「去年もこの順番だったから」で決まっていると、現場の忙しさとぶつかったときに簡単に後回しにされます。逆に、なぜその月にそのテーマを置いているかを説明できる計画は、多少ずれても立て直しやすくなります。
もう一つの原因は、他の事業所のひな形をそのまま使っていることです。研修の順番も内容も、事業所の利用者層や職員の入れ替わり時期によって、本来は変えたほうがいい部分があります。今回はこの二つ、月ごとの割り当て順と事業所別に変えるところを整理します。
月ごとにテーマを割り当てる順番の考え方
まず押さえておきたいのは、研修には「時期が決まっているもの」と「時期を選べるもの」があるということです。
時期が決まっているものの代表は、新人が入ってくる時期に合わせた基礎研修です。多くの事業所では4月と、中途採用が入りやすい時期に、感染対策や身体拘束の基本、緊急時対応といった項目を集中して行います。ここを最初に固定すると、残りの月の配置が決めやすくなります。
次に、季節性のあるテーマです。冬場に向けては感染対策の再確認、夏場は熱中症や水分管理、年度末に近づくと避難訓練や業務継続計画の訓練、といった具合に、実際の環境変化に合わせて置くと、研修と現場の実感が結びきやすくなります。
そのうえで、時期を選べる研修、たとえば身体拘束適正化や虐待防止、看取りに関する研修などは、委員会の開催サイクルや年度の振り返りのタイミングに合わせて配置します。委員会を開いた直後に、その内容を全職員に周知する研修を続けて置く、という組み方をすると、記録も一体で残しやすくなります。
順番を決める際に便利なのが、読むかたちで受講できるコースを組み合わせることです。福ひろばラーニングのように、7分で読み終わるコースを月の合間に挟んでおくと、集合研修が組みにくい月でも受講記録が途切れません。集合研修を軸に、隙間の月を読むコースで埋めていく、という発想で年間の欠けをなくしていくと、計画表が形だけで終わりにくくなります。
事業所別に変えるところ
ここからが本題です。同じひな形をそのまま使わず、事業所の状況に合わせて変えたほうがいい部分を挙げます。
一つ目は、サービス種別による違いです。通所介護であれば、送迎や入浴介助に関する研修の優先度が上がりますし、訪問系のサービスであれば、単独訪問時の緊急対応や、利用者の自宅という環境特有のリスクに関する研修が重要になります。福祉用具や口腔ケアなど、利用者との接点が多い項目から順に置くと、現場の納得感が違います。
二つ目は、職員の入れ替わりの時期です。新卒中心で4月に一斉入職する事業所と、中途採用が年間を通じて発生する事業所では、基礎研修を置く月が変わってきます。年間を通じて採用がある事業所は、基礎研修を単発ではなく、いつでも受けられる形にしておくほうが実務に合います。
三つ目は、過去のヒヤリハットや事故の傾向です。誤薬や転倒の報告が多い時期がある事業所は、その直前の月に該当する研修を置くと、注意喚起として機能しやすくなります。ここは事業所ごとの記録を振り返らないと分からない部分なので、ひな形をコピーするだけでは反映されません。
四つ目は、看取りへの対応の有無です。看取り介護加算に関する年1回の研修が必要な事業所は、対応件数が増える時期の前に配置するなど、実際の利用者の状況に合わせる必要があります。
まとめ
年間研修計画は、時期が決まっている研修を先に固定し、季節性のあるテーマをその間に置き、委員会サイクルに合わせて残りを配置すると組みやすくなります。ただしひな形をそのまま使うのではなく、サービス種別、職員の入れ替わり、事故の傾向、看取りの有無といった事業所固有の事情で、順番や重点は変える必要があります。前年のコピーで終わらせず、自分の事業所の記録を振り返りながら組み直すことが、計画を最後まで実行につなげる近道です。
出典・参考
※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。
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