研修の受講率が上がらない理由|督促より届き方と時間の見直しを

「まだやってない人は今週中に」が効かない

月初に研修の一覧を配って、月末に未受講者へ声をかける。それでも一部の職員がなかなか終わらせない。管理者や教育担当の方なら、こうした流れに心当たりがあるのではないでしょうか。

未受講が続くと、つい督促の回数を増やしたり、口調を強めたりしてしまいます。朝礼で名指しに近い言い方をしたり、個別に声をかけたりすることもあると思います。ですが、これを繰り返しても受講率が大きく変わらない事業所は少なくありません。督促は「やる気の問題」を前提にしていますが、実際に受講が進まない原因は、届き方と時間の取り方にあることが多いからです。

督促を強めても解決しない理由

まず届き方について考えてみます。研修の案内が紙で貼り出されているだけ、あるいは共有フォルダの奥に置かれているだけだと、非常勤やパートの職員、休憩時間がずれる職員は存在自体に気づきにくくなります。存在に気づかなければ、督促の言葉だけが先に届き、「何を」「いつまでに」やればいいのかが本人の中で曖昧なままになります。督促は本来、案内が届いていることを前提にした行為です。届いていない相手に督促を重ねても、伝わるのは焦りだけで、行動にはつながりません。

次に時間の取り方です。介護・障がい福祉の現場は、記録や申し送り、利用者対応の合間に研修時間を確保する必要があります。管理者側が「空いた時間にやってください」とだけ伝えると、職員は結局、勤務時間の外でやるしかなくなります。休憩中や退勤後にスマートフォンで長い動画を開く負担感は、想像以上に大きいものです。特に、子育てや家族の介護と両立している職員にとって、まとまった時間を取ること自体がハードルになります。

つまり、受講率が上がらないのは「意欲がない」からではなく、「届く形になっていない」「時間の取り方が現場に合っていない」ことが原因である場合が多いのです。督促を強めるより先に、この二点を見直す方が、遠回りに見えて近道になります。

届き方と時間の取り方を変えるとどうなるか

届き方を変えるとは、案内の出し方だけでなく、研修そのものの受け取りやすさを変えることです。例えば、動画のように長時間の視聴を前提にした研修ではなく、短く読み切れる研修であれば、休憩の合間や勤務の切れ目に区切って進めやすくなります。福ひろばラーニングは、読むかたちのeラーニングで、7分で読み終わるコースを中心に構成されています。動画を再生する環境を探す必要がなく、スマートフォンでもパソコンでも、文字で内容を確認しながら自分のペースで受講できます。これは「空いた時間に」という指示を、現実的に実行可能な指示に変える一つの方法です。

時間の取り方についても、事業所側で工夫できる部分があります。例えば、申し送りの前後に5分だけ研修時間を組み込む、あるいは非常勤職員の出勤日に合わせて短時間のコースを割り当てるといった方法です。これは以前の記事でも触れましたが、出勤日がそろわない現場ほど、まとまった研修時間を一律に設定するより、細切れの時間をどう配分するかが受講率に直結します。

また、督促の内容そのものも変えられます。「まだやっていませんか」ではなく、「今週はこのコースを、この時間に案内しています」という形で、いつ・どこに・どのくらいの分量が届いているかを具体的に伝えることで、督促は責める言葉ではなく、進捗を共有する言葉に変わります。記録を管理する立場としても、受講状況を数字で把握しやすくなり、督促の回数自体を減らせる可能性があります。

まとめ

研修の受講率が上がらないとき、督促を強めるより先に見直したいのは、案内の届き方と、現場に合った時間の取り方です。長い研修を前提にせず、短く読み切れる形で届け、細切れの時間で受講できるようにすることが、意欲の問題として片づけがちな未受講を減らす近道になります。督促は責める言葉ではなく、進捗を共有する言葉として使い直してみてください。

出典・参考

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

▶ WAM NET(福祉・保健・医療の総合情報サイト)

※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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