ハラスメント対策の措置、研修と相談窓口を運営指導でどう示すか

運営指導の連絡が来てから慌てないために

実地指導や運営指導の予告が届くと、多くの事業所でまず確認されるのが感染対策やBCP、そしてハラスメント対策です。就業規則にハラスメント防止の規定はあるか、相談窓口はどこにあるか、職員に周知されているか。こうした項目は、通所介護でも訪問リハビリでも、規模の大小にかかわらず確認対象になります。

ハラスメント対策は、利用者やご家族からのカスタマーハラスメントと、職員同士のパワーハラスメントの両方が対象です。介護の現場では特に、利用者やご家族からの言動にどう対応するかが課題になりやすく、運営基準にも事業者が講ずべき措置として明記されています。措置というと難しく聞こえますが、実際に求められているのは「相談窓口を設けること」「研修などで職員に周知すること」「相談があった場合の対応方法を定めておくこと」の3点に集約されます。

何が「措置」として求められているか

まず整理しておきたいのは、措置の中身です。相談窓口については、誰が担当するか、どこに相談すればよいかを職員が知っている状態を作る必要があります。窓口を設置しただけで周知していない、あるいは規程集の奥にしまわれていて誰も見たことがない、という状態では措置を講じたとは言いにくいものです。

研修についても同様です。年に1回、入職時にオリエンテーションで触れる程度では不十分だと指摘されることがあります。ハラスメントの定義、具体的にどのような言動が該当するのか、相談があった場合にどう対応するのかを、継続的に伝える仕組みが求められます。特に非常勤やパートの職員は、常勤職員向けの会議や研修に参加しにくい場合が多く、この層への周知が漏れやすい点は多くの事業所で共通する悩みです。

もう一つ見落とされがちなのが、相談を受けた後の対応手順です。誰が一次対応するか、事実確認はどう進めるか、行為者・被害者双方への配慮をどうするか。ここまで文書化されている事業所は、まだ多くありません。相談窓口があるだけでなく、その後の流れが決まっているかどうかも、運営指導では確認されるポイントです。

運営指導で実際に見られる観点

運営指導の場では、書類の有無だけでなく「その書類が機能しているか」を確認されることが増えています。具体的には次のような観点です。

  • 就業規則やハラスメント防止規程に、相談窓口の設置と対応手順が明記されているか
  • 相談窓口の存在が、職員向けの掲示や研修資料などで周知されているか
  • ハラスメントに関する研修が、いつ、誰を対象に、どのような内容で実施されたか記録が残っているか
  • 非常勤・パート職員も含めて、研修の対象から漏れていないか

このうち特に指摘を受けやすいのが、研修記録の具体性です。「ハラスメント研修実施」とだけ書かれた記録では、実施日と対象者はわかっても、内容や理解度の確認までは追えません。誰が何を学び、どう理解したかまで残しておくと、指摘を受けたときにも説明がしやすくなります。

加算の要件と直接結びつく項目ではない場合もありますが、サービス種別や自治体によって確認の厳しさが異なるため、詳細は指定権者にご確認いただくのが確実です。

研修記録をどう積み上げるか

研修を実施すること自体は難しくありません。難しいのは、非常勤やパートを含めた全職員に、同じ内容を、同じタイミングで届け、その記録を残し続けることです。出勤日がそろわない職場では、集合研修だけでは全員に行き渡らず、結果として「一部の職員しか受けていない」状態が続いてしまいます。

福ひろばラーニングは7分で読み終わるコースを中心にした、読むかたちのeラーニングです。ハラスメント対策に関する内容も、通勤前や休憩時間など、それぞれの都合に合わせて受講できる形にしています。誰がいつ受講したかが記録として残るため、運営指導で研修記録の提示を求められた際にも、実施日・対象者・内容をそのまま説明資料として使えます。集合研修を組む時間が取りにくい事業所ほど、こうした仕組みが役に立つ場面が多いようです。

まとめ

ハラスメント対策の措置は、相談窓口の設置と周知、継続的な研修、相談後の対応手順という3つの柱で成り立っています。運営指導では、書類の有無だけでなく、それが実際に職員に届いているかどうかまで確認される傾向があります。非常勤・パート職員も含めた全員への周知と、実施内容がわかる研修記録を日頃から積み上げておくことが、指摘を受けない体制づくりの近道になります。

出典・参考

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

▶ WAM NET(福祉・保健・医療の総合情報サイト)

※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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