運営指導で見られる研修記録、「実施した」を証明する方法とは
計画表はあるのに、当日困る事業所
運営指導の日、年間研修計画表を用意していたのに、指導員から「この研修、実際に何をやったか分かるものはありますか」と聞かれて手が止まる。そんな場面を経験した管理者の方は多いのではないでしょうか。
計画表には「〇月 感染症対策研修 実施済み」とチェックが入っている。しかし、それだけです。誰が講師をしたのか、何を使って何を伝えたのか、誰が出席したのか、理解度をどう確認したのか。当日その場で答えようとしても、記憶に頼るしかなくなります。
研修自体はやっていたはずなのです。朝礼で伝えた、申し送りノートに書いた、口頭で注意喚起した。実施した事実はある。けれど、それを「実施した」と主張することと、「実施したと証明できる」ことの間には、思っている以上に距離があります。
「実施した」と「証明できる」の違い
この二つの違いは、記録に何が書いてあるかで決まります。実施したことの証明に必要なのは、少なくとも次の項目です。
- 実施日時
- 対象者(誰が受けたか、氏名または職種・人数)
- テーマと内容の概要
- 使用した資料や教材
- 実施方法(集合研修か、個別か、資料配布のみか)
- 理解度の確認方法(テストの有無、感想の提出など)
このうち、多くの事業所で抜けやすいのが「対象者」と「理解度の確認方法」です。研修を企画した記録は残っていても、誰が受けたか、受けた人が内容を理解したかまでは追いかけていない。運営指導では、計画があることよりも、計画通りに実施され、対象者に届いたことが見えるかどうかを問われます。
もう一つ見落とされがちなのが、非常勤やパート職員への対応です。集合研修の日に出勤していなかった職員がいる場合、その人がいつ、どのような形で同じ内容を受けたのかが記録に残っていないと、事業所全体として研修を実施したとは言い切れません。出勤日がそろわない現場ほど、個別に受けた記録を一人ひとり残す必要があります。
証明できる状態をつくる実務
証明できる状態にするための実務は、特別なことではありません。記録の形式を先に決めておくことです。
まず、研修実施記録のフォーマットを統一します。実施日、テーマ、講師、対象者一覧、使用資料、理解度確認の方法という項目を、事業所として毎回同じ様式で残す。様式がバラバラだと、指導員が確認するときにも時間がかかりますし、担当者が変わったときに引き継ぎがしづらくなります。
次に、資料そのものを保管します。口頭だけで済ませた研修は、内容を後から示すことができません。配布資料、スライド、あるいは使用した外部研修の受講証明書など、当日使った資料一式を残しておくことが前提になります。
理解度の確認も、簡単な方法で構いません。感想を一言書いてもらう、確認テストに数問答えてもらう、それだけでも「受けた人が理解したかどうかを事業所として確認した」という記録になります。全員参加型の研修だけでなく、読むかたちのeラーニングを使う事業所も増えています。福ひろばラーニングのように7分で読み終わるコースであれば、出勤日がそろわない非常勤職員でも、自分の都合に合わせて受講でき、受講した記録がシステム上に残ります。誰が、いつ、何を受講したかが自動的に残る仕組みは、証明という面では手間を減らせる部分です。
最後に、記録の保管場所と保管期間を決めておきます。誰が見ても同じ場所にあり、過去数年分をさかのぼれる状態にしておくこと。運営指導は当日その場で提示を求められることが多いため、探す手間がかかるようでは実質的に「証明できる」とは言えません。
まとめ
研修記録で問われるのは、実施した事実そのものよりも、それを後から誰が見ても確認できる形で残しているかどうかです。対象者、資料、理解度の確認という三点は特に抜けやすいので、様式を先に決めて毎回同じ形で残すことをおすすめします。非常勤職員への対応も含めて、日頃の記録の積み重ねが、運営指導当日の説明のしやすさにつながります。
出典・参考
※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。
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