虐待防止委員会の回し方|開催後に周知の記録まで残す組み立て

委員会は開いている、でも指摘される

虐待防止委員会を定期的に開催している事業所は、決して少なくありません。議事録も残していて、参加者の名前も記載されている。それなのに運営指導で「委員会の内容が職員に周知されたことを確認できない」と指摘される。こうした声を耳にすることがあります。

原因ははっきりしています。委員会は「開催した」記録と「周知した」記録が別物だという点が、現場で意識されていないことです。委員会で議論した内容が委員会室の中で完結してしまい、参加していない職員には伝わっていない。伝わっていても、伝わった証拠が残っていない。この二つのどちらかに当てはまるケースがほとんどです。

委員会を開くこと自体は、担当者が日程を調整して議題を用意すれば実現できます。難しいのはその後です。委員会で決まったこと、確認したことを、参加していない職員にどう届け、届いたことをどう記録に残すか。ここまでを一つの流れとして設計している事業所は、案外多くありません。

「開催」から「周知」への橋渡しをどう組み立てるか

委員会の運営を見直すときは、開催そのものより、開催後の動きを先に決めておくことをおすすめします。具体的には次のような流れです。

まず委員会当日は、議事録に「決定事項」と「周知が必要な事項」を分けて記載します。すべての議論を漏れなく周知する必要はなく、職員が業務で押さえておくべき点だけを抜き出すという考え方です。これにより、次に何を伝えればよいかが明確になります。

次に、周知の方法を決めます。朝礼や申し送りで口頭伝達するのか、書面で回覧するのか、研修として改めて実施するのか。事業所の規模やシフトの組み方によって適した方法は変わりますが、いずれの方法を選んでも、伝えた記録を残す仕組みが必要です。口頭伝達であれば伝達した日時と対象者を記録し、書面回覧であれば確認印や署名欄を用意する。研修として実施するなら、実施日と受講者名を記録に残します。

最後に、委員会の担当者がこの周知記録を回収し、委員会のファイルに一緒に綴じておきます。委員会の議事録と周知記録がセットになっていれば、運営指導の際にも「開催した」だけでなく「周知した」ことを示せます。

周知の記録をどう残すか、具体的な方法

周知の記録で悩みやすいのが、非常勤職員やシフトの都合で委員会に参加できなかった職員への対応です。全員を一堂に集めて説明する時間を確保するのは、現場の人員体制を考えると簡単ではありません。

このときに役立つのが、各自のタイミングで読んで確認できる仕組みです。委員会で決まった注意点や見直したルールを短くまとめ、7分で読み終わるコースのような形で全職員に受講してもらう。読むかたちのeラーニングであれば、勤務時間の合間や出勤前後の短い時間でも受講でき、受講した記録が自動的に残ります。福ひろばラーニングのようなサービスを使うと、誰がいつ受講したかが一覧で確認できるため、委員会の担当者が一人ひとりの確認印を集めて回る手間も減ります。

もちろん、口頭伝達や書面回覧が悪いわけではありません。事業所の規模や職員の勤務形態によっては、それで十分な場合もあります。大切なのは、どの方法を選んだとしても「誰が」「いつ」確認したかを後から示せる状態にしておくことです。記録が残っていなければ、実際には周知していても「していない」と扱われてしまいます。

まとめ

虐待防止委員会は、開催すること自体がゴールではありません。決定事項を職員に周知し、その周知を記録に残すところまでを一連の流れとして設計しておくことが重要です。周知の方法は事業所ごとに合ったものを選べばよいのですが、誰がいつ確認したかを後から示せる記録を残す点だけは、どの方法でも共通して押さえておく必要があります。委員会のファイルを開いたときに、議事録と周知記録が一緒に綴じられている状態を目指してください。

出典・参考

▶ 高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査結果(厚生労働省)

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

▶ WAM NET(福祉・保健・医療の総合情報サイト)

※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。

──────────

📚 福ひろばラーニングは、介護・障がい福祉のための研修eラーニングです。法定研修の実施と記録を1か所にまとめ、年間研修計画書と実施記録は管理画面からそのまま印刷できます。1人月220円(税込)。

▶ 実際のコースを無料で体験する

▶ 無料で相談する

──────────

この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

会社概要を見る →
← ブログ一覧へ