感染症対策の研修と訓練、年何回必要?サービス種別ごとの数え方

年度末に研修記録をまとめていて、「今年は感染症の研修、何回やっただろうか」と手が止まったことはないでしょうか。4月に基礎知識の研修をした記憶はあるけれど、訓練はやったかどうか自信がない。逆に、個人防護具の着脱練習はしたけれど、それを研修の実施回数として数えてよいのか分からない。管理者や教育担当の立場だと、こういう曖昧さが一番厄介です。今回は、感染症対策の研修と訓練を年間で何回実施すればよいのか、数え方の考え方を整理します。

「研修」と「訓練」は別カウントで数える

まず押さえておきたいのが、感染症対策では「研修」と「訓練」が別のものとして扱われる点です。研修は、感染症の基礎知識や事業所の対応方針を学ぶインプットの場です。訓練は、実際に個人防護具を着脱したり、感染者が出た想定で動線を確認したりする、手順を体で確認するシミュレーションです。

この2つをまとめて「感染症対策の会議を1回やったから終わり」としてしまうと、運営指導の際に「研修は実施しているが訓練の記録がない」という指摘につながりかねません。研修と訓練はそれぞれ定期的に実施することが求められているという理解が一般的ですが、具体的な年間回数の基準はサービス種別によって定められ方が異なりますし、自治体の解釈にも幅があります。数え方に迷ったら、自事業所が該当する基準を指定権者に確認したうえで、社内のルールとして「研修は年何回、訓練は年何回」と明文化しておくことをおすすめします。

通所介護での回数の数え方

通所介護のようにスタッフが決まった時間に事業所へ集まりやすいサービスでは、年間スケジュールに組み込みやすいのが利点です。たとえば、年度初めに基礎知識の研修を行い、感染症が流行しやすい時期に入る前に、個人防護具の着脱や嘔吐物処理の訓練を行う、という組み方をしている事業所が多い印象です。

回数を数えるときに見落としやすいのが、パート勤務や非常勤の職員です。常勤だけを対象にして実施記録をつけていると、非常勤職員が未受講のまま年度を終えてしまうことがあります。誰が対象で、誰が受講済みか、誰が未受講かを一覧で管理し、未受講者には別日程で個別に実施するなど、フォローの手順まで決めておくと安心です。記録には、実施日、対象者、内容、実施方法を残しておきます。

訪問系サービスでの回数の数え方

一方、訪問リハビリのように利用者の自宅へ職員が個別に出向くサービスでは、通所介護のように全員を一堂に集めて訓練を行うことが難しい場合があります。訪問先ごとに動く働き方だと、集合形式の訓練を組もうとしてもシフトが合わず、結局実施できないまま年度が終わってしまう、という相談をよく聞きます。

この場合は、集合形式にこだわらず、訪問前後の時間を使って個別に手順確認を行う、あるいはオンラインで短時間集まって着脱手順を映像や資料で確認する、といった方法で代替することも考えられます。大事なのは、形式よりも「実際に手を動かして確認したかどうか」です。知識のインプットである研修部分は、事前に読んで理解しておく形にして、訓練の時間は実技の確認に絞る、という役割分担をすると、限られた時間の中でも両方を実施しやすくなります。

弊社が提供している福ひろばラーニングは、読むかたちのeラーニングです。感染症対策の基礎知識にあたる部分は、7分で読み終わるコースとして事前に受講してもらい、実際に集まる時間は個人防護具の着脱など手を動かす訓練に充てる、という使い分けをしている事業所もあります。研修と訓練を分けて考えると、この組み合わせがしやすくなります。

記録に残すときのポイント

回数を確保できていても、記録が残っていなければ実施したことを証明できません。最低限、実施日、対象者、内容、実施方法(集合か個別か、資料を使ったかなど)、未受講者への対応を記録に残しておきます。特に未受講者へのフォローは、後から見返したときに抜けやすい部分なので、対応した日付まで記録しておくと安心です。

また、年度末に一度、今年度の実施回数と来年度の計画を一緒に見直す時間を作っておくと、翌年度に同じ悩みを繰り返さずに済みます。研修と訓練、それぞれ何回実施し、誰が未受講だったかを一覧にしておけば、次の計画づくりの負担も軽くなります。

まとめ

感染症対策の研修と訓練は、別のものとして年間の実施回数を数える必要があります。具体的な回数はサービス種別や自治体によって異なるため、指定権者への

出典・参考

▶ 介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修資料・動画(厚生労働省)

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

▶ WAM NET(福祉・保健・医療の総合情報サイト)

※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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