BCP机上訓練の進め方|2時間で回せる構成と記録に残す項目

「シナリオを読んで終わり」になっていませんか

BCPを策定したあと、訓練の位置づけに悩む事業所は少なくありません。実施はしているものの、内容は「BCPを配って、みんなで読み合わせる」だけ、というケースをよく耳にします。それ自体が無意味というわけではありませんが、机上訓練として記録に残す場合、「読み合わせをした」という記述だけでは、実際に何を確認し、どこに課題が見つかったのかが後から分からなくなってしまいます。

訓練の目的は、BCPに書いてある手順が、実際の職員の動きとして成立するかを確認することです。そのためには、単に文書を読むのではなく、想定される事態を一つ設定して、その場で誰が何をするかを職員同士で言葉にしてもらう時間が必要です。とはいえ、丸一日かけて大掛かりに行うのは現実的ではない事業所がほとんどだと思います。ここでは、1回2時間という枠の中で、無理なく進められる構成を整理します。

2時間でできる進め方

2時間の枠は、大きく4つの区分に分けると進めやすくなります。

最初の15分は、目的とルールの共有です。今日の訓練が何を確認するためのものか、誰が記録係を務めるかをここで決めておきます。記録係を毎回同じ人にすると負担が偏るため、持ち回りにしている事業所もあります。

次の30分は、シナリオの提示と個人での検討です。地震、感染症の集団発生、断水など、想定を一つに絞り、その状況で自分の役割を職員各自にBCP上の記載と照らし合わせて確認してもらいます。ここで「自分の担当箇所が曖昧だ」と気づくこと自体が、訓練の成果の一つです。

続く45分は、グループでのすり合わせです。個人検討の内容を持ち寄り、実際に声を出して「連絡は誰にする」「利用者の安否確認はどの順番で行う」といったやり取りをします。ここで手順が重なっていたり、逆に抜けていたりする箇所が見つかります。見つかった課題はその場でメモに残し、後でBCPの修正につなげます。

最後の30分は、振り返りと共有です。グループごとに出た気づきを全体で共有し、今日の訓練で分かったことと、次回までに直す点を整理します。ここまでで2時間です。時間が押しがちなのはグループ検討の部分なので、進行役はタイマーを使って区切ることをおすすめします。

記録に残す項目

訓練を実施した証拠として残すべき項目は、感染症の訓練記録とほぼ同じ考え方で整理できます。まず、実施日時と場所、参加者名簿です。参加できなかった職員がいる場合は、後日どう補ったかも書き添えておくと、運営指導の際に説明がしやすくなります。

次に、想定したシナリオの内容です。「震度何の地震」「どの季節の断水」など、具体的な設定を書いておくと、次回別の想定で訓練する際の記録との違いが分かりやすくなります。

そして、訓練中に出た気づきや課題です。これが最も重要な部分です。「誰が誰に連絡するかが決まっていなかった」「代替の記録手段を誰も把握していなかった」など、その場で出た具体的な内容を残します。抽象的に「概ね良好であった」とだけ書くと、訓練をした意味が薄れてしまいます。

最後に、次回までの改善事項とその担当者です。BCPの文書修正が必要なのか、周知の方法を変えるのか、次の訓練で再確認するのか、決めたことを明記しておきます。これが次の訓練の入り口にもなります。

こうした記録をきちんと残す土台として、職員がBCPの基本的な考え方を事前に共有できているかどうかも大きく影響します。福ひろばラーニングには、BCPの基本的な考え方や訓練の位置づけを7分で読み終わるコースとして用意しているものがあります。机上訓練の前に受講してもらうと、当日のグループ検討がスムーズに進みやすくなります。

まとめ

BCPの机上訓練は、丸一日を確保しなくても、2時間という枠の中で目的・個人検討・グループ検討・振り返りの4区分に分けることで実施できます。記録には、実施日時や参加者だけでなく、想定したシナリオの内容、その場で出た具体的な課題、次回までの改善事項を残すことが大切です。読み合わせだけで終わらせず、職員の言葉で手順を確認する時間を意識して組み立ててみてください。

出典・参考

▶ 介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修資料・動画(厚生労働省)

▶ ひな形(例示入り)を活用したBCP(業務継続計画)の作り方(厚生労働省)

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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