年間研修計画の立て方|月ごとのテーマ配分と事業所別に変える視点

3月末になると、来年度の研修計画表を作らなければ、と手が止まる管理者の方は多いと思います。テーマの候補は思いつくのですが、それを1月から12月にどう並べるかで悩みます。虐待防止、身体拘束、感染症、BCP、個人情報保護。どれも大事なテーマですが、順番を決めずに「思いついた月に入れる」形にすると、忙しい月に研修が重なったり、逆に何もない月ができたりします。今回は、月ごとに割り当てる順番の考え方と、事業所ごとに変えるべきところを整理します。

まず「動かせない研修」を先に置く

年間計画を組むときは、白紙の状態から埋めていくのではなく、時期がある程度決まっている研修を先にカレンダーに置いてしまうのがやりやすいです。

たとえば、次のような研修は時期が読みやすいものです。

  • 新年度が始まる4月前後:新任職員向けのオリエンテーション、法人理念や記録ルールの確認
  • 感染症が流行しやすい時期の前:11月頃までに一通りの研修と訓練を終えておく
  • 台風や大雨が想定される時期の前:BCPの机上訓練を梅雨入り前に済ませておく
  • 賞与や処遇改善加算の実績報告に合わせて:キャリアパス要件に関わる研修記録の整理

これらを先に置くと、残りの月に何を入れるかが自然と絞られてきます。虐待防止や身体拘束、個人情報保護、事故防止といった研修は、年に何回実施すべきかがサービス種別や自治体によって異なるため、指定権者にご確認いただく必要がありますが、「いつやるか」自体は事業所側で決められる部分です。動かせない時期のものを先に固定し、動かせるものを空いた月に振り分ける、という順番で考えると計画が組みやすくなります。

月ごとの割り当ては「忙しさの波」を見て決める

テーマの候補が出そろったら、次は月ごとの負荷を見ます。通所介護であれば、利用者の入退院やケアプランの更新が集中する時期、行事が重なる時期は、職員の手が空きにくくなります。訪問リハビリの場合は、利用者宅への訪問件数が増える時期や、季節による体調変化への対応が増える時期があります。

こうした「忙しい月」には、内容が重い研修や、グループワークを伴う研修を置かないようにします。逆に、比較的落ち着いている月には、時間のかかるテーマや、複数回に分けて理解を深めたいテーマを置きます。

もう一つの視点は、テーマ同士のつながりです。たとえば身体拘束の研修をした翌月に、記録の書き方や委員会の開催方法を扱うと、前月に学んだ内容を実務に落とし込みやすくなります。逆に、まったく関係のないテーマを毎月ランダムに並べると、学んだことが積み上がっていきません。1年を通して見たときに、いくつかのテーマが緩やかにつながっているかどうかは、計画を組んだあとに一度見直してみる価値があります。

短時間で読み終わるコースを組み合わせておくと、この「忙しい月の埋め合わせ」がしやすくなります。福ひろばラーニングは、7分で読み終わるコースを中心にした、読むかたちのeラーニングです。忙しい月でも、テーマだけは外さずに受講してもらい、時間のとれる月にグループでの話し合いを設定する、という組み合わせ方をしている事業所もあります。

事業所の規模やサービス種別で変えるところ

ここまでの順番の考え方は共通ですが、実際に月へ割り当てる中身は、事業所ごとに変わってきます。

通所介護であれば、利用者が集団で過ごす時間が長いため、感染症対策や事故防止、身体拘束に関する研修の優先度が高くなりやすい傾向があります。行事の前後は職員の目が行事準備に向きやすいので、その月には重い研修を避け、行事後に振り返りを兼ねた研修を置く、という組み方もできます。

訪問リハビリのように職員が個別に利用者宅へ伺うサービス形態では、1人で判断する場面が多くなります。そのため、緊急時対応や、利用者・家族とのコミュニケーションに関する研修を厚めに置く事業所もあります。また、職員が事業所に集まる機会が限られるため、集合研修を組みにくく、各自のタイミングで受講できる形式との相性を考える必要があります。

事業所の規模によっても変わります。職員数が少ない事業所では、1人が複数のテーマを担当することになるため、月ごとの負荷が偏らないよう、担当者の予定も含めて計画を組む必要があります。職員数が多い事業所では、部署やチームごとに受講状況にばらつきが出やすいため、誰がいつ受講したかを追いやすい仕組みを先に決めてから、テーマの割り当てに進んだほうが、あとの記録整理が楽になります。

サービス種別によって、法定で求められる研修の内容や回数が異なる場合があります。これは自治体や運営指導の方針によっても変わるため、判断に迷う項目は指定権者に確認したうえで、計画に反映してください。

まとめ

年間研修計画は、白紙から埋めるのではなく、時期が決まっている研修を先に固定し、残りを事業所の忙しさの波を見ながら振り分けると組みやすくなります。テーマ同士のつながりも意識すると、1年を通して学びが積み上がる計画になります。中身は事業所の種別や規模によって変わりますが、順番の考え方自体はどの事業所でも使えるものです。来年度の計画を組む際の参考にしていただければと思います。

出典・参考

▶ 介護職員の処遇改善(厚生労働省)

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

▶ WAM NET(福祉・保健・医療の総合情報サイト)

※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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