介護記録が苦手でも大丈夫 事実の書き方は試験にも実務にも効く
記録用紙を前にして手が止まる、というあの時間
勤務が終わって、さあ記録を書こうと思ったときに、何を書けばいいのか分からなくなる。そんな経験がある方は少なくないと思います。頭の中では「今日はいつもより表情が硬かった気がする」「なんとなく元気がなかった」というイメージがあるのに、それをどう文章にすればいいのか分からず、結局「特変なし」とだけ書いて終わらせてしまう。あるいは逆に、思ったことを全部書こうとして、感想文のように長くなってしまう。どちらも、記録が苦手だと感じている人によくあるパターンではないかと思います。
記録は、書くこと自体が目的ではありません。次の勤務者が読んで状況を把握できること、後から振り返ったときに変化に気づけること、そして万が一のときに何があったかを説明できることが目的です。そのために大事なのが「事実」と「解釈」を分けて書くという考え方です。これは特別なテクニックというより、少し視点を変えるだけでできるようになります。
「事実」と「解釈」を分けて書く
記録が苦手になりやすい一番の原因は、自分の印象や感想を、事実であるかのように書いてしまうことにあります。たとえば「元気そうだった」「機嫌が悪かった」「落ち着いていた」といった表現は、書いている本人にとっては自然な言葉ですが、読む人によって受け取り方が変わってしまいます。何をもって「元気そう」と判断したのか、その根拠が記録に残っていないと、あとで読んだ人は状況を正確に思い浮かべることができません。
ここで意識したいのが、目に見えたこと、耳で聞いたことをそのまま書くという方法です。「元気そうだった」ではなく「食事を完食し、いつもより会話の量が多かった」。「機嫌が悪かった」ではなく「声をかけると『放っておいて』と返答があった」。「落ち着いていた」ではなく「椅子に座り、テレビを見て過ごしていた」。こうした書き方に変えると、読んだ人が自分で状況を判断できるようになります。判断は読む人に任せて、書く人は見たこと・聞いたことだけを渡す、という役割分担だと考えると分かりやすいかもしれません。
もちろん、専門職としての気づきや所見を書くこと自体は必要です。ただし、その場合は「〜という発言があったことから、〜の可能性が考えられる」というように、事実と考察を分けて記述すると、読み手にとって分かりやすい記録になります。事実の部分と、自分の解釈の部分が地続きになっていると、あとから見返したときに何が起きたのかが曖昧になってしまいます。
事実を書く練習は試験対策にもつながる
この「事実と解釈を分ける」という視点は、介護福祉士国家試験の問題を読むときにも役立ちます。試験の事例問題では、本文の中に書かれている情報だけを根拠に答えを選ぶ必要があります。自分の経験や思い込みで「こういう利用者さんならこう対応するはず」と考えてしまうと、本文に書かれていない前提で判断してしまい、正解から遠ざかることがあります。逆に、記録を書くときと同じように「本文に書かれている事実だけを拾う」という読み方ができると、事例問題は解きやすくなります。
普段の記録で、見たこと・聞いたことと自分の考えを分けて書く習慣がついていると、試験問題を読むときにも同じ姿勢で臨めるようになります。記録の練習と試験対策は、別々のことのようでいて、実は同じ力を使っている部分が多いのです。
これから受験を考えている方にとっては、まとまった勉強時間を取るのが難しいという悩みもあるかと思います。福ひろばラーニングでは、介護福祉士国家試験の一問一答を1,000問用意しており、20問までは無料で試すことができます。すきま時間に少しずつ問題を解いていくと、事例問題の読み方の感覚もつかみやすくなります。記録の書き方を見直すのと合わせて、こうした一問一答で問題文の読み方に慣れておくのも一つの方法です。
記録は完璧でなくても、事実を積み重ねればいい
記録が苦手だという気持ちの背景には、「上手な文章を書かなければ」というプレッシャーがある場合も多いように感じます。ですが、記録に求められているのは文章のうまさではなく、事実の正確さです。短い文でも、見たこと・聞いたことがそのまま書かれていれば、それは十分に役立つ記録になります。
書き始める前に「これは自分が見たことか、それとも自分がそう感じたことか」を一瞬立ち止まって確認するだけでも、記録の質は変わってきます。慣れるまでは時間がかかるかもしれませんが、意識して続けていくうちに、自然と事実ベースの書き方が身についていきます。
まとめ
記録が苦手だと感じる背景には、事実と自分の解釈が混ざってしまっていることが多くあります。見たこと・聞いたことをそのまま書き、考察は分けて添えるようにすると、読み手に伝わる記録になります。この「事実を拾う」視点は、介護福祉士国家試験の事例問題を読むときにも同じように役立ちます。記録も試験勉強も、日々の積み重ねで少しずつ身についていくものだと思います。
──────────
📚 福ひろばラーニングは、介護・障がい福祉で働く方のためのeラーニングです。7分で読み終わるコースに加えて、介護福祉士国家試験の一問一答を1,000問収録しています。
※お勤め先で福ひろばラーニングを導入済みの方は、そのままご利用いただけます。
──────────