介護現場で感染対策研修を毎年受ける理由、当たり前を疑ってみる

「また同じ研修か」と思った日のこと

年度が変わると必ず案内が回ってくる感染対策の研修。手洗いの手順、標準予防策の考え方、嘔吐物処理の手順。去年もやったし、去年もその前もやった内容だと感じて、正直「またか」と思ったことがある方は多いと思います。忙しいシフトの合間に時間を作って受けるのに、内容は毎年似たようなもの。だったら一度しっかり覚えれば十分ではないか、という気持ちになるのも自然なことです。

ただ、実際に現場に立っていると、知識が「知っている」から「できている」まで続いているかどうかは別の話だと感じることがあります。手順は覚えていても、忙しい時間帯にはつい省略してしまう。新しい消毒剤に切り替わったのに、以前のやり方のまま使ってしまう。こうしたズレは、誰かが悪気を持ってやっているわけではなく、時間が経つと少しずつ起きてくるものです。

感染対策の知識は時間とともに薄れていく

人の記憶は、覚えた直後が一番しっかりしていて、そこから少しずつ薄れていきます。感染対策の手順もそれと同じで、研修を受けた直後は意識できていても、数か月経つと細かい部分があいまいになっていきます。特に、普段の業務の中で感染対策だけを意識する場面は少なく、他の業務と同時にこなしていく中で、優先順位が下がってしまうこともあります。

さらに、感染対策の基準やガイドラインは、その時々の状況に合わせて少しずつ更新されることがあります。数年前に覚えた内容のままでは、現在の推奨されるやり方と少しずれてしまっている可能性もあります。だからこそ、同じテーマを毎年学び直すことには、単なる確認以上の意味があります。知識を上書きし、今の基準に合わせ直す機会になっているということです。

これは特別なことではなく、どの仕事にも共通して言えることだと思います。慣れた作業ほど、基本に立ち返る機会がないと、いつの間にか自分なりのやり方に変わっていってしまう。感染対策のように、結果が見えにくい分野ではなおさら、意識して立ち返る場が必要になります。

資格取得の勉強と感染対策の学び直しはつながっている

介護福祉士の資格取得を考えている方にとっても、感染対策の学び直しは無関係ではありません。国家試験では、感染対策に関する基本的な知識が出題される分野の一つになっています。日々の業務で身についている「なんとなくの感覚」を、試験で問われる形の知識として整理し直す作業が必要になります。

このとき、現場で実際に手を動かしている経験があることは強みになります。ただ、経験だけでは試験の問い方に対応しきれない部分もあるので、知識を確認しながら問題形式で慣れていく時間も必要になります。

福ひろばラーニングでは、介護福祉士国家試験の一問一答を1,000問用意していて、20問までは無料で試すことができます。感染対策の分野も含まれているので、毎年の研修で扱った内容が試験ではどう問われるのか、確かめる感覚で使ってみるのもひとつの方法です。7分で読み終わるコースという形で、隙間の時間に読み進められるようになっているので、勤務の合間に少しずつ触れることができます。

毎年の学び直しを「作業」にしないために

研修を「こなすもの」として受けてしまうと、内容が入ってこないまま時間だけが過ぎてしまいます。せっかく時間を使うのであれば、自分の日々の動きと照らし合わせながら受けると、得られるものが変わってきます。

たとえば、手洗いのタイミングについて研修で説明を受けたときに、自分の一日の流れの中でどの場面が抜けやすいかを考えてみる。防護具の着脱手順を確認するときに、自分が実際に着脱している順番と比べてみる。こうした小さな照らし合わせを積み重ねることで、研修の内容が自分の行動に結びついていきます。

また、感染対策は一人だけが徹底していても効果が限定的で、職場全体で同じ基準を共有していることが大切になります。毎年の学び直しは、自分の知識を更新するだけでなく、職場のメンバーと同じ基準に合わせ直す機会にもなっています。研修の場で「自分はこう理解している」と確認し合うことも、意味のある時間の使い方だと思います。

介護福祉士の資格取得を目指している方であれば、こうした研修で得た知識を、そのまま試験対策の理解にもつなげやすくなります。現場での経験と、試験で問われる知識を、別々のものとして分けて覚えるのではなく、行き来しながら整理していくと、負担が少なく進められます。

まとめ

感染対策の研修が毎年同じに見えるのは、基本的な内容が繰り返し扱われているからですが、知識は時間が経つと薄れ、基準も少しずつ更新されていくため、学び直す意味があります。日々の業務と照らし合わせながら受けることで、研修の内容が自分の行動に結びつきやすくなります。資格取得を考えている方にとっても、現場での経験を試験で問われる知識として整理し直す機会になります。毎年の学び直しを、負担ではなく自分の知識を確かめる時間として捉えてみてください。

出典・参考

▶ 介護福祉士国家試験(社会福祉振興・試験センター)

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

※試験の日程・受験資格・出題範囲は年度によって変わります。必ず公式の案内をご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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