看取りに向き合うとき、気持ちと知識の両方が支えになる話

夜勤の時間帯に、利用者さんの呼吸が少しずつ変わっていくのを感じたことがある人は、少なくないと思います。家族が到着するまでの間、どう声をかければいいのか、今の対応で合っているのか、頭の中がぐるぐるして落ち着かないまま時間が過ぎていく。そんな経験をしたことがある方に向けて、今回は看取りに向き合うときの気持ちの整理と、知識があることで支えられることについて書いてみます。

看取りのあと、気持ちが整理できないまま次の勤務に入る

看取りに関わった日の夜、家に帰ってからも頭から離れないという話はよく聞きます。あのとき自分がした声かけでよかったのか、もっとできることがあったのではないか。答えが出ないまま、次の勤務に入ってしまうこともあります。

介護の仕事をしていると、悲しみに浸る時間をゆっくり取れないまま、次の利用者さんのケアに向き合わなければならない場面が多くあります。これは誰が悪いわけでもなく、現場の仕組み上、仕方のないことでもあります。ただ、気持ちを整理する時間がないまま積み重なっていくと、だんだん消耗していくのも事実です。

自分の中で起きている感情に名前をつけてみる、というのは一つの方法です。悲しいのか、悔しいのか、それとも何もできなかった無力感なのか。言葉にするだけで、少し軽くなることがあります。誰かに話す必要はなく、自分の中で整理するだけでも違います。

感情だけで乗り越えようとすると、しんどくなる

看取りに関わる職員の多くは、優しさや思いやりを持って利用者さんに接しています。だからこそ、感情だけで対応しようとすると、だんだんしんどくなっていきます。

「寄り添う」という言葉はよく使われますが、具体的に何をどうすればいいのか、現場で迷う場面は多いはずです。呼吸の変化にどう気づくか、ご家族にどんな言葉をかけるか、痛みや苦しさのサインをどう読み取るか。これらは感情だけでは対応しきれず、知識として持っておくことで初めて、落ち着いて動けるようになります。

知識があると、何が起きているのかを理解できるようになります。理解できると、次に何をすべきかが見えてきます。見えてくると、不安が少し減ります。感情が揺れ動くこと自体は自然なことですが、その揺れを支える土台として知識があると、現場に立つときの安心感がまったく違ってきます。

知識があることで、自分を支える土台になる

介護福祉士の資格取得を考えている方の中には、看取りに関わる知識をきちんと学びたいという理由で勉強を始める方もいます。資格の勉強というと、試験のための暗記というイメージが強いかもしれませんが、実際には現場で起きていることを言葉で理解し直す作業でもあります。

看取り期のケアについて学ぶと、今まで感覚だけで対応していたことに、意味や根拠があったのだと気づくことがあります。なぜそのタイミングで体位を変えるのか、なぜその声かけが大切なのか。知識として整理されることで、自分がやっていたことに自信が持てるようになります。

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受験資格については制度が定められているので、詳しくは公式の案内をご確認ください。

気持ちと知識、両方があるから続けられる

看取りに向き合うことは、何度経験しても慣れるものではないと思います。慣れないからこそ、毎回きちんと向き合えているとも言えます。感情が揺れることは自然なことで、無理に抑え込む必要はありません。ただ、その感情だけで現場に立ち続けるのは、やはり難しいところがあります。

知識があることで、今自分がしていることの意味がわかり、次に何をすべきかが見えてきます。見えることで、気持ちの揺れを支える土台ができます。両方が揃うことで、現場に立ち続けられるのだと思います。

まとめ

看取りの場面では、気持ちが整理できないまま次の勤務に入ることがよくあります。感情だけで乗り越えようとすると消耗してしまいますが、知識があると自分を支える土台になります。資格の勉強は、現場で感じてきたことを言葉で理解し直す機会でもあります。少しずつでも知識を積み重ねることが、現場に立ち続けるための支えになります。

出典・参考

▶ 介護福祉士国家試験(社会福祉振興・試験センター)

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

※試験の日程・受験資格・出題範囲は年度によって変わります。必ず公式の案内をご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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