「障害の理解」が苦手な介護職へ ICFと社会モデルから学ぶ勉強法

「経験がないから分からない」で止まっていませんか

高齢者介護の現場にいると、障害のある方への対応に自信が持てないという声をよく聞きます。身体障害、知的障害、精神障害、発達障害。それぞれの特性や関わり方を学ぶ機会は、高齢者ケアに比べると現場では少なめです。

通所介護や訪問の仕事をしていても、障害のある利用者さんと関わる頻度は事業所によって差があります。関わる機会が少ないまま「障害の理解」という科目が試験範囲に入ってくると、何から手をつけていいか分からなくなるのも自然なことだと思います。

ここでは、経験の少なさを埋めるための考え方の入口として、ICFと社会モデルという2つの視点を紹介します。どちらも難しい理論ではなく、日々の仕事の見方を少し変えるための道具として使えます。

ICFは「できないこと」だけを見ない枠組み

ICFは国際生活機能分類の略で、人の生活を「心身機能・身体構造」「活動」「参加」という3つの要素と、それに影響する「環境因子」「個人因子」で捉える考え方です。

以前の障害の捉え方は、病気やけがによって「できないこと」を中心に見る傾向がありました。ICFは、できないことだけでなく、本人が持っている力や、周囲の環境によって生活がどう変わるかまで含めて見ようとする枠組みです。

例えば、歩行が難しいという「心身機能」の制限があっても、手すりやスロープという「環境因子」が整えば、買い物に出かけるという「活動」や、地域の集まりに参加するという「参加」は可能になります。同じ心身の状態でも、環境次第で生活の広がり方が変わる、という見方です。

これは高齢者ケアでも使っている視点のはずです。「この方は何ができないか」ではなく「何があればできるか」を考える習慣がすでにあるなら、障害の理解に取り組むときも、その延長線上で考えることができます。

社会モデルは「障害は本人の中にあるのか」を問い直す

もう一つ押さえておきたいのが、障害の社会モデルという考え方です。

これは、障害を「本人の心身の機能の問題」としてだけ捉えるのではなく、「社会の側に、その人の生活を妨げる障壁がある」と捉える視点です。例えば、車いすの方が段差のある建物に入れないとき、問題は車いすを使っていることではなく、段差をなくす設計がされていないことにある、という考え方です。

この視点を持つと、支援の仕方が変わってきます。本人に合わせてもらう方向だけでなく、環境や周囲の対応を変えることで解決できる場面が見えてくるからです。

試験対策として社会モデルという言葉を覚えるだけでなく、日々の業務の中で「この困りごとは、本人の問題なのか、環境や周囲の対応の問題なのか」を考えてみると、知識が定着しやすくなります。知識を先に詰め込むより、普段の場面に当てはめながら理解していくほうが、経験の少ない分野では特に効果があると感じます。

こうした考え方の整理には、過去問を使って知識の抜けを確認する方法も役立ちます。福ひろばラーニングでは介護福祉士国家試験の一問一答を1,000問用意しており、20問までは無料で試せます。障害の理解の分野だけを選んで解いてみると、自分がどこでつまずくかが分かりやすくなります。

日々の仕事の中に学びを組み込む

ICFや社会モデルといった考え方は、一度読んだだけで身につくものではありません。ただ、普段の業務の中に少しずつ組み込んでいくことはできます。

例えば、利用者さんの生活のしづらさに気づいたとき、「これは心身機能の問題か、環境の問題か」と一瞬考えてみる。それだけでも、ICFの視点を使う練習になります。

まとまった勉強時間を取るのが難しいという方には、短い時間で読み切れる教材を使う方法もあります。福ひろばラーニングには7分で読み終わるコースがあり、障害の理解に関するテーマも扱っています。勤務の合間や休憩時間に、少しずつ知識を積み上げていくような使い方ができます。

経験の少ない分野は、一度にまとめて埋めようとすると負担が大きくなります。ICFや社会モデルという考え方を軸にしながら、短いコースや一問一答を組み合わせて、無理のないペースで進めていくのが現実的だと思います。

まとめ

障害の理解は、現場での経験が少ないまま試験範囲として出てくる分野です。ICFの「できることと環境」を見る視点、社会モデルの「障害は社会の側にもある」という視点を軸にすると、知識を日々の業務とつなげながら整理しやすくなります。短い教材や一問一答を使いながら、少しずつ自分のペースで理解を広げていくことをおすすめします。

出典・参考

▶ 介護福祉士国家試験(社会福祉振興・試験センター)

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

※試験の日程・受験資格・出題範囲は年度によって変わります。必ず公式の案内をご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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