認知症専門ケア加算とチームケア推進加算、研修要件と記録の実務ポイント

介護度の重い認知症の利用者が増えるなか、「認知症専門ケア加算」や「認知症チームケア推進加算」の算定を検討している事業所は多いのではないでしょうか。ただしこの2つの加算は名前が似ている上に、要件となる研修も配置基準も異なるため、「どの職員に、どの研修を受けさせればよいのか」で迷いやすい制度です。研修要件を誤って理解したまま算定すると、運営指導で指摘を受けるリスクもあります。本記事では、両加算の研修要件の違いを整理し、実施記録をどう仕組み化するかを解説します。

認知症専門ケア加算とチームケア推進加算、何が違う?

まず整理しておきたいのが、この2つが別の制度だという点です。

認知症専門ケア加算は、認知症介護実践リーダー研修の修了者を、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の対象者数に応じて配置することが要件です。対象者が20人未満の事業所では1名以上、20人以上では対象者19人を超えるごとに1名を加える形で配置人数が増えていきます。あわせて、事業所の職員に対して認知症ケアの留意事項の伝達や技術的指導を行う会議を定期的に開催することも求められます。(トリケアトプス「認知症専門ケア加算とは」

認知症チームケア推進加算は、令和6年度介護報酬改定で新設された加算で、認知症の行動・心理症状(BPSD)を未然に防ぐ、あるいは早期に適切に対応するためのチームケアを評価する制度です。研修要件は区分によって異なり、加算(I)は「認知症介護指導者養成研修」と「認知症チームケア推進研修」の修了者、加算(II)は「認知症介護実践リーダー研修」と「認知症チームケア推進研修」の修了者を、それぞれ1名以上配置する必要があります。加えて、対象者ごとに月1回以上のチームケア会議を開催し、状態評価やケア計画の作成・見直しを行うことも要件に含まれます。(東京都「認知症チームケア推進加算の新設」全老健Q&A「研修に係る算定要件」

このように、認知症専門ケア加算とチームケア推進加算(I)(II)では、配置すべき研修修了者の組み合わせがそれぞれ異なります。取得したい加算の区分によって「誰が」「どの研修を」修了している必要があるかを、事業所ごとに正確に把握しておくことが出発点になります。

研修要件をクリアできても、記録が整っていなければ意味がない

これらの加算で求められる外部研修(認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者養成研修、認知症チームケア推進研修など)は、いずれも認知症介護研究・研修センターなど専門機関が実施する専門職向けの研修であり、福ひろばラーニングのようなeラーニングで代替できるものではありません。事業所側の実務上の課題は、むしろその後にあります。

  • 該当職員が対象研修をいつ修了したか、修了証をどう保管しているか
  • 配置基準を満たし続けているか(異動・退職があった際にすぐ分かるか)
  • 月1回の会議や技術指導の実施記録が、日時・参加者・内容とともに残っているか

運営指導では、加算の算定要件を満たしていることを記録で説明できるかが確認されます。「研修は受けさせている」「会議はやっている」という認識があっても、記録が散在していたり口頭確認頼みになっていたりすると、説明に手間取ってしまいます。

福ひろばラーニングでできること

福ひろばラーニングは外部の専門研修そのものを代替するものではありませんが、加算要件まわりの実務を支える2つの使い方ができます。

1つ目は、事業所全体の認知症ケアに関する基礎知識の底上げです。福ひろばラーニングには認知症ケアに関するコースが用意されており、専門研修を受けていない職員も含めて、BPSDの基本的な考え方やチームケアの視点をスマホで学ぶことができます。専門ケア加算・チームケア推進加算が求める「事業所全体への留意事項の伝達」の土台づくりとして活用できます。

2つ目は、記録の一元管理です。受講記録が自動で蓄積され、誰がいつ何を受講したかを一覧で把握できるため、対象研修の修了者を管理する仕組みの一部として使えます。また、年間研修計画書や研修実施記録を出力できるため、運営指導・監査の際に、認知症ケアに関する研修や会議の実施状況をまとめて提示する準備がしやすくなります。複数事業所を運営している場合も、受講状況を1画面で横断的に把握できます。

まとめ

認知症専門ケア加算と認知症チームケア推進加算は、名称は似ていても要件となる研修の組み合わせが異なる別の制度です。まずはどの加算を目指すのか、そのために誰がどの外部研修を修了する必要があるのかを正確に整理すること。そのうえで、対象研修の受講状況や定期会議の実施記録を、日々の運営の中で無理なく残せる仕組みを持っておくことが、運営指導にも強い体制につながります。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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