就労支援の支援記録、作業場面をどう書き個別支援計画につなげるか

作業の記録が、その日の日誌で終わっていないか

就労継続支援や就労移行支援の現場では、日々の記録に「作業」の欄を設けている事業所が多いと思います。軽作業、清掃、農作業、パソコン入力など、その日行った作業内容を書く欄です。

ただ、実際に記録を見返すと「シール貼りを1時間行った」「清掃作業に参加した」といった一文だけで終わっているケースが少なくありません。何時間、何個作業したか、参加した・しなかったという事実は書かれていても、その作業が本人の個別支援計画のどの目標につながっているのかが見えないのです。

運営指導でも、支援記録と個別支援計画の内容が結びついているかどうかは確認される部分です。作業日誌としては成立していても、支援記録としては不十分ということが起こりやすい場面だと思います。

作業の記録に必要な3つの視点

作業場面の記録を、後から見て意味が分かるものにするためには、次の3つの視点を意識すると整理しやすくなります。

1つ目は「目標との対応」です。個別支援計画に掲げた目標、たとえば「指示を受けてから作業に取りかかるまでの時間を短くする」「同じ工程を最後まで続ける」といった項目に対して、その日の作業がどう関係していたかを一言でも添えます。目標番号や項目名をそのまま記録に書いておくと、後から探しやすくなります。

2つ目は「工程の理解度と本人の様子」です。作業内容だけでなく、手順を説明した後にどのくらいで動き出せたか、途中で確認が必要だったか、集中が続いた時間帯はいつごろだったかなど、支援員が見て気づいたことを短く残します。数値化できるものは数値で、できないものは「声かけ2回で工程を再開できた」のように具体的な行動で書くと、あとで比較しやすくなります。

3つ目は「支援員の関わりと次回への申し送り」です。声かけのタイミングや方法を変えたのか、道具の配置を工夫したのか、それに対して本人の反応がどうだったのかを書いておくと、担当が変わっても同じ支援を続けられます。逆に、うまくいかなかった関わり方も記録しておくことで、同じ試行錯誤を繰り返さずに済みます。

この3つを毎回すべて長文で書く必要はありません。定型のチェック項目にしておいて、特記事項だけ自由記述にするなど、日々の記録負担を増やしすぎない工夫も必要だと思います。

個別支援計画とどうつなぐか

作業場面の記録が積み重なってくると、それをモニタリングの材料として使えるようになります。個別支援計画の目標に対して、直近1〜3か月分の記録を振り返り、工程の理解が進んでいるか、声かけの回数が減ってきているか、参加できる作業の幅が広がっているかを確認します。

このとき、記録がその日限りの作業日誌になっていると、振り返り自体が難しくなります。目標との対応が書かれていれば、担当者が変わっても同じ視点で経過を追うことができ、モニタリング会議やサービス担当者会議の場でも根拠のある報告がしやすくなります。

また、作業の記録は本人や家族に説明する場面でも使います。「作業ができた・できなかった」という結果だけでなく、どんな関わりでどう変化したかを示せると、支援の意図が伝わりやすくなります。逆に目標に結びつかない記録が続いている場合は、計画そのものを見直すきっかけにもなります。記録と計画は一方通行ではなく、行き来しながら精度を上げていくものだと考えると、日々の記録の書き方も自然と変わってくると思います。

こうした記録の視点は、経験のある職員には当たり前でも、新しく就労支援に配属された職員には言語化されていないと伝わりにくいものです。福ひろばラーニングでは、支援記録の書き方や個別支援計画との関係を短時間で整理できるコースを用意しています。すきま時間に7分で読み終わる分量なので、配属直後の職員に受講してもらい、その後で実際の記録を一緒に見直すという使い方もできます。

まとめ

就労支援の作業記録は、作業内容の事実を書くだけでなく、個別支援計画の目標との対応、工程理解度と本人の様子、支援員の関わりと申し送りの3点を意識すると、モニタリングにそのまま使える記録になります。記録と計画を行き来させながら精度を上げていく視点を、事業所全体で共有しておくことが大切です。

出典・参考

▶ 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について(厚生労働省)

▶ WAM NET(福祉・保健・医療の総合情報サイト)

※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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