サービス等利用計画と個別支援計画、役割の違いを現場でどう伝えるか

「計画が二つあるのに、そろっていない」現場のよくある場面

利用者のファイルを開くと、相談支援専門員が作ったサービス等利用計画と、事業所で作った個別支援計画が並んで綴じてある。管理者やサービス管理責任者であれば、この光景に見覚えがあるのではないでしょうか。

問題は、二つの計画が同じ利用者のことを書いているはずなのに、目標の書きぶりや優先順位がずれていることです。サービス等利用計画では「地域での生活を続ける」と書かれているのに、個別支援計画では作業訓練の課題ばかりが並んでいる。モニタリングの時期を尋ねられて初めて、相談支援専門員がいつ利用者と会っているのか把握していなかったことに気づく。こうした場面は、決して珍しいものではありません。

二つの計画がそろっていないこと自体が悪いわけではありません。役割が違うので、書かれている粒度が違って当然です。問題なのは、その違いを事業所側が理解しないまま計画を作り、結果として利用者本人が置き去りになることです。

サービス等利用計画と個別支援計画は何が違うのか

サービス等利用計画は、相談支援専門員が利用者の生活全体を見て、どのサービスをどう組み合わせるかを整理するものです。複数の事業所をまたいで利用している場合、その全体像を描くのは相談支援専門員の役割になります。総合的な支援の方針や、生活のなかでの優先順位が書かれる、いわば上位の計画です。

一方、個別支援計画は、その事業所が提供する支援に絞って、具体的に何を目標にどう関わるかを書くものです。サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者が、日々の支援記録や本人・家族との面談をもとに作成します。上位の方針を受けて、自分たちの事業所でできることに落とし込む役割です。

この上下関係を意識しないと、個別支援計画が独立した文書になってしまいます。サービス等利用計画に書かれている生活全体の方針を確認せず、事業所側の都合や得意な支援メニューを先に決めて、後から目標を当てはめるような作り方をしてしまうと、利用者本人よりも事業所の運営が先に立った計画になりかねません。

連携が薄いとどこにひずみが出るか

連携が薄いまま計画を運用すると、まず起きるのがモニタリングの時期のずれです。相談支援専門員のモニタリングと、事業所内の個別支援計画の評価時期が離れていると、生活状況の変化が個別支援計画に反映されるまでに時間がかかります。利用者の状態が変わっているのに、計画上は以前のままという状態が続くこともあります。

次に起きやすいのが、支援方針の重複や矛盾です。複数の事業所が同じ利用者に関わっている場合、それぞれの個別支援計画で似たような目標を別々の言葉で立てていることがあります。一見問題なさそうに見えますが、担当者会議で共有されていないと、利用者本人が事業所ごとに違うことを求められていると感じてしまう場合があります。

こうした状態は、運営指導の場面でも指摘の対象になり得ます。個別支援計画がサービス等利用計画を踏まえて作成されているか、担当者会議の記録が残っているかは、確認されやすい部分です。加算の要件に関わる部分もあるため、サービス種別や自治体によって扱いが異なるところは、指定権者に確認しておくと安心です。

このあたりの計画間の関係を整理して振り返りたいときは、福ひろばラーニングに担当者会議やモニタリングの位置づけを扱う読み切りのコースがあります。7分で読み終わる分量なので、担当者間で認識をそろえる前の下読みとして使いやすいかと思います。

担当者会議とモニタリングで揃えておきたいこと

実務としてまず押さえておきたいのは、担当者会議に呼ばれた際に、サービス等利用計画のどこを個別支援計画に反映させるべきかを持ち帰る意識です。相談支援専門員から出される情報を聞くだけでなく、事業所側からも日々の支援記録で見えている変化を伝えることで、双方の計画が同じ方向を向きやすくなります。

モニタリングのタイミングも、可能な範囲で事業所内の評価時期とすり合わせておくと、情報の鮮度がそろいます。相談支援専門員が本人・家族と面談した内容を、事業所側の個別支援計画の見直しに間に合うように共有してもらう、あるいはこちらから支援記録の要点を先に渡しておくといったやり取りが、日常的にできると理想的です。

記録の残し方も重要です。誰がいつ何を共有したか、担当者会議で何が決まったかを記録に残しておくことで、後から見返したときに二つの計画がどうつながっているかを説明できます。口頭でのやり取りだけで終わらせず、簡単なメモでも残しておくことをおすすめします。

まとめ

サービス等利用計画は生活全体の方針、個別支援計画はその事業所でできる支援への落とし込みという役割の違いを、まず事業所側が理解することが出発点になります。モニタリングの時期をすり合わせ、担当者会議での共有内容を記録に残すことで、二つの計画のずれを小さくできます。利用者本人が置き去りにならないよう、上位の計画を確認してから自分たちの計画を作る順番を、日々の業務のなかで意識しておきたいところです。

出典・参考

▶ 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について(厚生労働省)

▶ WAM NET(福祉・保健・医療の総合情報サイト)

※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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