障がい福祉の身体拘束廃止未実施減算、施設・居住系は10%。3要件の記録が分かれ目

身体拘束廃止未実施減算は、障がい福祉サービスの減算のなかでも金額が大きいものです。障害者支援施設など施設・居住系のサービスでは所定単位数の10%、その他のサービスでは1%が減算されます。

10%は、他の減算と比べて桁が違います。ここは優先して手を打つべきところです。

必要なのは4点

  • 身体的拘束等を行う場合の記録
  • 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会の開催と、結果の職員への周知
  • 身体的拘束等の適正化のための指針の整備
  • 従業者への研修の定期的な実施

「うちは拘束していない」でも減算の対象になる

ここが最も誤解されやすいところです。

身体拘束を一度も行っていない事業所であっても、委員会・指針・研修の3つが揃っていなければ減算の対象になります。記録が発生していないことと、体制が整っていることは別の話です。

「拘束をしていないので関係ない」と考えて委員会を開いていなかった、というのは実際によくある形です。

緊急やむを得ない場合の3要件

やむを得ず身体拘束を行う場合には、次の3つをすべて満たすことが求められます。

切迫性 ── 利用者本人または他の利用者の生命・身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと

非代替性 ── 身体拘束その他の行動制限を行う以外に代わる方法がないこと

一時性 ── 身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること

運営指導では、この3つを個別に検討した記録が確認されます。「3要件を満たすため実施」と一行だけ書かれた記録では、検討した内容が読み取れません。それぞれについて、なぜそう判断したのかが書かれている必要があります。

記録に残す項目は、態様・時間・その際の利用者の心身の状況・緊急やむを得なかった理由です。あわせて、本人や家族への説明と、解除に向けた検討の経過も残しておきます。

障がい福祉では「行動障害への対応」と重なる

強度行動障害のある方への支援では、危険を避けるための関わりと、行動制限との境目が現場で判断しにくい場面があります。ここは職員の経験によって判断がばらつきやすいところです。

委員会で扱う題材として、実際に迷った場面を持ち寄るのが有効です。「あの対応は拘束にあたるのか」を組織として話し合った記録は、そのまま適正化の取り組みの証拠になります。

研修は全職員に、年度をまたいで

研修の対象は全従業者です。年度当初にまとめて実施すると、その後に入職した方が抜けます。虐待防止研修と同じく、在籍者の一覧に対して受講済みかどうかを付ける形にしておくと、未受講の方が見えるようになります。

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まとめ

身体拘束廃止未実施減算は、施設・居住系で10%と重い減算です。拘束を行っていない事業所でも、委員会・指針・研修が揃っていなければ対象になります。まずはこの3点の記録があるかを確認し、そのうえで3要件の検討記録が個別に書かれているかを見直してください。

※減算率や対象サービスの区分、必要な実施回数は、サービス種別や自治体によって運用が異なる場合があります。実際の対応は指定権者にご確認ください。

この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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