外国人介護人材の訪問系サービス従事、要件と手続きは?
訪問介護の人手が足りず、外国人材を検討している方へ
通所介護や施設では外国人材を受け入れているけれど、訪問介護のヘルパーだけはどうしても日本人職員でまかなってきた、という事業所は少なくないのではないでしょうか。登録ヘルパーの高齢化が進み、新規の応募も少ない中で、技能実習生や特定技能の職員に訪問も担ってもらえないかと考える管理者の方もいると思います。
これまで技能実習生や特定技能の外国人は、訪問系サービスに従事することができませんでした。介護福祉士の資格を持つ外国人(EPA介護福祉士など)は以前から訪問系サービスに入れていましたが、資格を持たない技能実習・特定技能の人はこの制限の対象でした。
この取り扱いが令和7年(2025年)に変わりました。技能実習は4月1日、特定技能は4月21日の施行で、一定の要件を満たせば訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、総合事業の訪問型サービス(第一号訪問事業)に従事できるようになっています。訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護にも従事できますが、こちらは初任者研修の修了が必ずしも条件ではなく、代わりに職場内で入浴等の研修を受けてから従事させる形です。なお、生活援助従事者研修だけを修了した人は対象外です。障害福祉サービスの訪問系は別の通知で扱われるため、この記事では触れません。
本人に求められる要件は、介護職員初任者研修課程等の修了と、介護事業所等での実務経験(原則1年以上)です。EPA介護福祉士候補者については、令和7年3月31日の通知で「必要な調整が終了し次第、改めて通知する」とされており、現時点では訪問系サービスへの従事は始まっていません。最新の要件は出入国在留管理庁・厚生労働省の案内でご確認ください。
事業所が整える5つの事項と利用者への説明
本人の要件が整っていても、受け入れる事業所の側で準備しておくべきことが5つあります。
- 訪問介護等の業務の基本事項等の研修
- 一定期間、サービス提供責任者等が同行するなどの訓練
- 業務の内容等を丁寧に説明し、本人の意向を確かめながらのキャリアアップ計画の作成
- ハラスメント防止のための相談窓口の設置等
- 不測の事態に適切に対応できるよう、情報通信技術の活用を含めた環境整備
研修には、訪問系サービスの基本事項や生活支援技術だけでなく、利用者・家族・近隣とのコミュニケーション、日本の生活様式、緊急時を想定した内容も含める必要があります。環境整備では、緊急時の連絡先と対応フローのマニュアル、緊急時を想定した研修、他の職員が駆けつけられる体制、サービス提供記録や申し送りを職員全員で共有する仕組み、この4つすべてが求められます。基本的な知識のインプットを効率よく進めたい場合、福ひろばラーニングの介護職初級15コースは英語・ベトナム語・インドネシア語・ミャンマー語・中国語で読めるので、母語での下地づくりに使えますが、これは義務的な研修そのものの代わりになるものではなく、職場内研修の前後に理解を補う位置づけです。
あわせて、外国人介護人材が訪問する可能性がある利用者・家族には、外国人が訪問する場合があること、その人の実務経験等、ICT機器を使う場合があること、不安なときの事業所の連絡先を書面で渡して説明し、署名をもらう手順が必要です。この説明を省いて訪問を始めることはできません。
従事前に済ませる手続きとキャリアアップ計画
研修や環境整備を整えたら、実際に訪問を始める前に行政的な手続きを済ませます。従事させる前に、巡回訪問等実施機関である国際厚生事業団へ必要書類を提出し、確認を受けます。特定技能の場合は、介護分野の特定技能協議会(事務局は国際厚生事業団)が遵守事項等を確認して「適合確認書」を発行し、この適合確認書は本人が訪問系サービスに従事する前に発行されている必要があります。技能実習の手続は国際厚生事業団の別の窓口で扱われるため、監理団体や登録支援機関を通じて早めに確認しておくとよいと思います。
キャリアアップ計画は外国人ごとに本人と共同で作成し、事業所の説明者と本人が署名して、写しを本人に渡します。介護技能の修得目標と活動計画、資格取得・研修受講の目標、キャリア目標、日本語能力の習得目標を具体的に書きます。評価期間は1年で、終わるたびに次の計画を作り、前の評価期間の終わりから4か月以内に提出します。
なお、巡回訪問で遵守事項の履行が確認できず、指導しても改善が見込まれない場合は適合確認書が取り消されます。特定技能では協議会の脱退手続が進み、脱退の日から5年間は協議会に加入できないため、その間は介護分野で特定技能外国人を受け入れられなくなります。一度の手続き不備が長期的な影響を持つ点は、担当者間で共有しておく価値があります。
実務経験1年未満の例外と同行訪問の期間
実務経験が1年に満たない人を例外的に従事させる場合もあります。この場合は、日本語能力試験N2相当など、在留資格で求められるより高い日本語能力がある人に限られ、同行訪問を利用者ごとに行います。
同行訪問の期間は利用頻度によって異なります。週1回の利用者であれば6か月(利用者・家族の同意があれば3か月行ったうえで、見守りカメラ等のICTで常に事業所とやりとりできる形も可)、週2回なら3か月、週3回以上なら2か月です。2か月未満への短縮は認められていません。利用者ごとに期間を管理する必要があるため、誰がいつから同行を始めたかを記録しておく仕組みが欠かせません。
まとめ
技能実習生・特定技能の訪問系サービス従事は、令和7年4月から本人要件(初任者研修修了・実務経験原則1年以上)を満たせば可能になりました。事業所側は5つの遵守事項と利用者への事前説明を整え、国際厚生事業団への確認や適合確認書の発行を済ませてから従事を始める必要があります。実務経験1年未満での例外や、不備が生じた場合の影響も大きいため、登録支援機関・監理団体と事業所で手順を先に確認し合っておくことをおすすめします。
出典・参考
▶ 外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について(厚生労働省)
▶ 介護分野における特定技能外国人の受入れについて(厚生労働省)
※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。
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