研修の内製と外部研修、判断基準は法定か専門性か

研修計画を立てる時期に必ず出てくる悩み

年度の切り替わりや上半期の終わりに研修計画を立てる管理者・教育担当の方は多いと思います。そのときに必ず出てくるのが、「これは自分たちで作るべきか、外部の研修に出すべきか」という判断です。

予算には限りがありますし、外部研修に何人も送り出せば現場のシフトが回らなくなります。かといって全部を内製にすると、教材作りに時間を取られて本来の業務が圧迫されます。この線引きを毎回感覚で決めていると、担当者が変わるたびに基準がぶれて、記録も残りにくくなります。今回は、何を自前でやり、何を外に出すかを考えるときの目安をお伝えします。

内製に向いている研修の特徴

内製に向いているのは、事業所の中で完結する内容、かつ頻度が高いものです。具体的には次のようなものが挙げられます。

  • 事業所の記録の書き方やルール
  • ヒヤリハットの共有と振り返り
  • 新人が入職した直後に伝える業務の流れ
  • 感染症対策や事故防止など、繰り返し確認が必要な内容

これらは事業所固有の事情が絡むため、外部の講師に頼んでも「一般論」で終わってしまいがちです。むしろ現場を知っている職員が担当したほうが、実際の動線や記録様式に沿った説明ができます。

ただし内製の弱点は、担当者の負担が積み重なることです。毎回資料を作り直し、口頭で説明し、出席者を確認して記録を残す。これを手作業で続けていると、教育担当が一人で抱え込む形になりがちです。福ひろばラーニングのような、7分で読み終わるコースをあらかじめ用意しておける仕組みを使うと、繰り返し使う内容は一度整えてしまえば、次からは受講の記録を残すだけで済みます。内製の中身自体は事業所のものでも、届け方や記録の残し方は外部のサービスを借りるという発想です。

外部に出したほうがいい研修の特徴

一方で、外部に出したほうがよい研修もあります。判断基準は、専門性が高いこと、あるいは事業所の中だけでは客観性が保てないことです。

例えば、資格取得につながる研修や、法制度の解釈が絡む内容は、外部の講師や指定された研修機関に任せたほうが確実です。事業所内で自己流に解釈して伝えると、後で認識のずれが表面化することがあります。

また、ハラスメント対策や虐待防止のように、事業所内の人間関係が絡むテーマも、外部の視点を入れたほうが機能しやすい場合があります。身内だけで完結させると、どうしても「言いにくいこと」が抜け落ちてしまうためです。第三者性が必要な研修は、コストがかかっても外部に出す価値があります。

さらに、頻度が低く専門性も高い研修、例えば医療的なケアに関する内容などは、内製で無理に作るより外部の専門家に委ねたほうが、結果的に職員の理解も深まります。

組み合わせ方と記録の残し方

内製と外部研修は、どちらか一方に偏らせるのではなく、組み合わせて考えるとうまくいきます。目安としては、頻度が高く事業所固有の内容は内製、専門性や客観性が求められる内容は外部、という切り分けです。

ここで重要なのが、どちらのルートを通っても、受講記録の残し方を統一しておくことです。内製研修は口頭説明で終わらせず、資料と出席簿を残す。外部研修は修了証だけでなく、誰がいつ受けたかを事業所側の台帳にも転記しておく。この二本立てを怠ると、運営指導のときに「研修はやっているはずなのに、記録が突き合わせられない」という状態になりがちです。

非常勤やパート職員が多い事業所では、外部研修の日程に全員を合わせるのが難しいこともあります。そうした場合は、外部研修の内容を後から社内で振り返る時間を設け、内製の補足として扱うと、抜け漏れを防ぎやすくなります。加算の要件になる研修は、サービス種別や自治体によって扱いが異なるため、対象になるかどうかは指定権者に確認しておくと安心です。

まとめ

内製に向くのは頻度が高く事業所固有の内容、外部に向くのは専門性や客観性が求められる内容です。どちらを選んでも、受講記録を統一して残す仕組みがあって初めて、研修計画は形になります。内製と外部を組み合わせながら、記録の抜け漏れがない体制を少しずつ整えていくことが大切です。

出典・参考

▶ 介護職員の処遇改善(厚生労働省)

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

▶ WAM NET(福祉・保健・医療の総合情報サイト)

※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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