処遇改善加算のキャリアパス要件Ⅱ、研修計画と記録は何を残す?

計画書の「研修」欄で手が止まる理由

処遇改善加算の計画書や実績報告書を作成する時期になると、キャリアパス要件Ⅱの研修に関する欄で手が止まる、という管理者・教育担当の方もいるのではないでしょうか。

職位や職務内容に応じた研修を計画し、実施していることを求められているのは分かっていても、実際に書類を見返すと、昨年度の研修一覧はあるものの「誰向けの研修か」「どの資質向上につながるか」が整理されていない、ということがよくあります。年度末に慌てて研修の記録をかき集め、計画書の体裁だけ整える、という進め方をしている事業所も少なくないはずです。

キャリアパス要件Ⅱは、一度計画を作れば終わりという要件ではありません。毎年度、職員の職位・職務内容等に応じた研修計画を策定し、実施または研修機会を確保していることが求められます。つまり、研修計画と実施記録は、加算の「提出のための書類」ではなく、本来は「日々の教育の記録」がそのまま使える状態にしておくべきものです。

キャリアパス要件Ⅱが求めている研修の形

キャリアパス要件Ⅱでは、職員の職位・職務内容等に応じた任用要件を定めるとともに、それに応じた研修の機会を設けることが求められています。ここでいう研修の機会には、事業所が自ら研修を実施する場合だけでなく、外部研修への参加を保障する場合も含まれます。

ポイントは、研修が「職位・職務内容に応じている」かどうかです。新人職員向けの基礎研修、リーダー層向けのマネジメント研修、サービス提供責任者やサービス管理責任者など役割に応じた専門研修というように、対象者と内容が対応している必要があります。全職員に同じ内容の研修を一斉に実施するだけでは、要件を満たしているとは言いにくい場合があります。

また、研修計画は単年度の計画である必要はなく、複数年にわたるキャリアパスを見据えた計画として整理している事業所もあります。どちらの形を取るかはサービス種別や自治体の確認事項によって扱いが異なるため、具体的な様式や記載内容については指定権者にご確認ください。

研修計画と実施記録を、そのまま加算の書類にする

研修計画を作るときに意識しておきたいのは、「誰が」「いつ」「何を」「どの職位・職務に向けて」実施するのかを、最初から書類として成立する形で記載しておくことです。具体的には次のような項目を研修計画表に並べておくと、あとで実績報告を作るときに転記するだけで済みます。

  • 対象となる職位・職務(新人、リーダー、管理者など)
  • 研修のテーマと目的(何の資質向上を目指すか)
  • 実施時期と実施形態(集合研修、外部研修、各自受講など)
  • 実施後に確認する項目(受講の有無、理解度の確認方法)

実施記録についても同様です。「実施した」という一文だけでは、計画との対応関係が見えず、運営指導や加算の実績報告のたびに記録を探し直すことになります。研修計画の項目と対応させる形で、誰が受講したか、どの職位向けの研修だったかが分かるように残しておくと、年度末の作業がかなり減ります。

この部分については、福ひろばラーニングのように、読むかたちで7分程度で読み終わるコースを職位ごとに割り当てて受講してもらう仕組みを使うと、受講の記録が計画の項目に沿って自動的に残るため、研修計画と実施記録を突き合わせる手間を減らせます。すでに研修計画を持っている事業所であれば、その計画に合わせてコースを割り当てるだけで済みますし、これから整理する事業所であれば、職位別のコース構成を参考に計画を組み立てることもできます。

計画と記録のずれを年度途中で確認する

研修計画を作った時点では整っていても、年度の途中で予定していた研修が延期になったり、対象者が異動で変わったりすることはよくあります。このずれを年度末まで放置すると、計画と実績が合わなくなり、実績報告書を作る段階で辻褄合わせに追われることになります。

半期に一度程度、計画表と実施記録を突き合わせて、予定通り実施できているか、対象者に漏れがないかを確認しておくと安心です。この確認作業自体も、誰がいつ行ったかを記録に残しておくと、研修体制が形だけでなく運用されていることを示す材料になります。

まとめ

キャリアパス要件Ⅱは、職位・職務内容に応じた研修計画を立て、実施していることを求める要件です。計画段階で対象者・テーマ・時期・確認方法を書類として成立する形にしておけば、実施記録と合わせて加算の提出書類にそのまま使えます。年度末に慌てないためにも、半期ごとの見直しを計画の中に組み込んでおくことをおすすめします。

出典・参考

▶ 介護職員の処遇改善(厚生労働省)

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

▶ 介護福祉士国家試験(社会福祉振興・試験センター)

※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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