外国から来て介護で働くあなたへ 日本語と専門用語、両方覚える負担との向き合い方

申し送りノートに今日の出来事を書こうとして、手が止まることはありませんか。利用者さんの様子は頭の中でわかっているのに、それを日本語でどう表現すればいいのか迷う。「誤嚥」「拘縮」「褥瘡」といった専門用語が出てきた途端、さらに言葉が見つからなくなる。そんな場面を繰り返し経験している方は多いと思います。

外国から来て介護の現場で働くというのは、普通の日本語を覚えることと、介護の専門用語を覚えることが同時に進んでいく状態です。これは日本人の職員が専門用語だけを覚えればいいのとは、負担の種類が違います。この記事では、その負担をどう整理して、どう向き合っていけばいいのかを考えてみたいと思います。

二重の負担はなぜ重く感じるのか

日本語を母語としない方が介護の仕事をするとき、覚えることは大きく分けて二つあります。一つは日常会話としての日本語です。利用者さんや同僚との会話、申し送りの言い回し、敬語の使い分けなどです。もう一つは介護の専門用語です。体の部位の名称、症状の名前、介助の方法を表す言葉などです。

この二つは別々に積み重なるのではなく、同時に、しかも絡み合いながら身についていきます。例えば「拘縮」という言葉を覚えるとき、その言葉の意味だけでなく、日常会話の中でどう使われるのか、どんな文脈で出てくるのかも一緒に覚える必要があります。単語帳のように一対一で覚えられるものではないので、時間がかかるのは当然のことです。

さらに、現場では覚える時間がゆっくり確保されているわけではありません。利用者さんの対応をしながら、同僚とのやりとりをしながら、覚えていく必要があります。これは誰にとっても大変なことですが、母語でない言葉で行う場合、頭の中の処理が一段階多くなります。疲れやすさを感じるのは、能力の問題ではなく、こうした構造的な理由があるからです。

日本語の負担と専門用語の負担を分けて考える

負担を軽くする第一歩は、二つの負担を分けて考えることです。今、自分がつまずいているのは日本語そのものなのか、それとも専門用語の意味なのか。これを区別するだけでも、気持ちが整理されます。

例えば「本人の希望に沿って」という表現でつまずいているなら、それは日本語の言い回しの問題です。一方で「ADL」や「バイタル」という言葉でつまずいているなら、それは専門用語の問題です。どちらも大事ですが、覚え方のアプローチは少し違います。

日本語の言い回しは、実際に使われている場面を繰り返し見聞きすることで自然に身についていきます。職場で使われる定型的な表現は、意外と種類が限られています。申し送りの言い方、家族への説明の仕方など、パターンとして覚えてしまえば応用がきくようになります。

専門用語は、言葉の意味と漢字の読み方をセットで覚えていくことが助けになります。漢字から意味を推測できる言葉も多いので、一つ一つの漢字の意味を調べてみるのも遠回りのようで近道になることがあります。

短い時間で少しずつ進める

二つの負担を同時に抱えていると、まとめて覚えようとして疲れてしまうことがあります。無理に一度に詰め込もうとせず、短い時間で少しずつ進めることをおすすめします。

介護福祉士の資格取得を考えている方であれば、試験に出てくる専門用語そのものを覚える機会として活用する方法もあります。福ひろばラーニングでは、介護福祉士国家試験の一問一答を1,000問ほど用意しており、20問までは無料で受講できます。1問ずつ、専門用語の意味を確認しながら進められるので、日本語の勉強と専門用語の勉強を一度にまとめて進めたい方には取り組みやすい形だと思います。通勤の合間や休憩時間など、短い時間で読み終えられるように作られているので、長時間机に向かう余裕がない方にも向いています。

資格の受験を考えていない方でも、専門用語の意味を確認する目的で使うことはできます。試験のための勉強というより、現場で出てくる言葉の意味を一つずつ理解していく手段として考えてもらえればと思います。

なお、介護福祉士の受験資格や試験の詳しい内容は制度によって決まっているため、詳しくは公式の案内をご確認ください。

焦らず、自分のペースで積み重ねる

日本語と専門用語を同時に覚えるのは、時間がかかって当然のことです。周りの日本人の職員が専門用語だけを覚えているのを見て、自分は遅れていると感じることがあるかもしれません。ですが、覚えている量そのものは、むしろ多いはずです。言葉の土台から専門用語まで、同時に積み上げているからです。

覚えた言葉は、使ってみることで定着していきます。記録を書くとき、申し送りをするとき、間違っていてもいいので、覚えた言葉を実際に使ってみることが、次に覚える力につながります。わからない言葉があれば、その場で同僚に聞いてみることも、遠回りに見えて確実な方法です。

まとめ

外国から来て介護の仕事をする方は、日本語と専門用語を同時に覚えるという、二重の負担を抱えています。これは能力の問題ではなく、言葉の仕組み上の負担です。二つの負担を分けて考え、短い時間で少しずつ積み重ねていくことが、無理のない進め方になります。資格取得を考えている方は、専門用語を確認する手段として一問一答のようなものを活用してみるのも一つの方法です。焦らず、自分のペースで積み上げていってください。

出典・参考

▶ 介護福祉士国家試験(社会福祉振興・試験センター)

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

※試験の日程・受験資格・出題範囲は年度によって変わります。必ず公式の案内をご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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