介護福祉士試験「こころとからだのしくみ」を介助から理解するコツ

体位交換のたびに教科書が浮かばない、という人へ

夜勤明けに参考書を開いて、「骨突出部」「仙骨部」「大転子部」といった言葉を見て、ため息をついたことはありませんか。毎日の体位交換で手が覚えている動きなのに、いざ文字で説明されると途端に分からなくなる。これは「こころとからだのしくみ」でとてもよくある壁です。

この科目は解剖生理の知識が中心になっているため、暗記科目だと思って用語を丸暗記しようとすると、途中で心が折れやすい分野でもあります。骨の名前、神経の名前、ホルモンの名前……順番に覚えようとすると量が多すぎて、どこから手をつけていいか分からなくなります。

ただ、現場で働いている人には実は有利な点があります。それは、教科書に出てくる内容のほとんどが、自分が毎日やっている介助の中にすでに存在しているということです。知識を先に入れるのではなく、自分の手が覚えている動作に「名前をつけていく」つもりで勉強すると、驚くほど頭に入りやすくなります。

介助の場面から逆に名前をたどってみる

たとえば体位交換のときに気をつけている「床ずれになりやすい場所」。これは骨が皮膚のすぐ近くにあって、体重がかかりやすい部位です。仙骨、大転子、踵、肩甲骨あたりを意識しながら介助していると思いますが、これはそのまま「骨突出部」や「褥瘡の好発部位」という教科書の項目につながっています。先に場所を体で分かっているので、名前が後からついてくるイメージです。

食事介助も同じです。むせやすい利用者の方に対して、顎を引いてもらう、一口量を少なくする、とろみをつけるといった対応をしていると思います。これは「嚥下のしくみ」「誤嚥を防ぐ姿勢」という単元そのものです。食べ物が口からのど、食道へと送られる過程で、気管に入らないようにするしくみがどこにあるか、という知識は、むせる場面を思い浮かべながら読むと理解が早くなります。

入浴介助で血圧の変動に気をつけている人も多いはずです。脱衣所と浴室の温度差で血圧が急に変わることを意識して声をかけたり、湯温を確認したりしていますが、これは循環器のしくみと直結しています。心臓から送り出された血液が血管の中をどう流れていて、温度変化でどう収縮・拡張するのか、という話は、浴室での注意点を思い出しながら読むと、ただの文字情報ではなく「自分がやっていること」として入ってきます。

移乗介助で関節の可動域を気にしながら体を支えている場面も、関節や筋肉のしくみの単元とそのままつながります。無理に動かすと痛がる方がいる理由、支える位置を変えると楽になる理由は、関節の構造を知ると「なるほど」と納得しやすくなります。

短い時間で、介助と結びつけながら読む

こうして考えると、「こころとからだのしくみ」は新しい知識を頭に入れる科目というより、すでに持っている経験に名前と理由をつけていく科目だと感じます。とはいえ、仕事の合間や休憩時間にまとまった勉強時間を取るのは簡単ではありません。参考書を開いても数ページで時間切れ、ということもよくあると思います。

そういうときは、一度に全部を理解しようとせず、自分が今日担当した介助に関係する単元だけを拾い読みするやり方がおすすめです。今日は体位交換が多かったから褥瘡と骨の部位を読む、今日は食事介助で気になることがあったから嚥下のしくみを読む、というふうに、仕事の記憶が新しいうちに結びつけると定着しやすくなります。

読むかたちのeラーニングを使う場合も、同じ考え方で選ぶとよいと思います。福ひろばラーニングには7分で読み終わるコースが用意されているので、休憩時間や通勤の合間に、その日の介助内容に近いテーマだけを選んで読むという使い方ができます。長時間机に向かう必要がないので、現場仕事と両立しやすい勉強の形です。

知識を確認する段階になったら問題形式も使ってみる

ある程度、介助の場面と結びつけて理解が進んできたら、次は知識として抜けがないかを確認する段階に入ります。このときに役立つのが、問題を解く形式での復習です。福ひろばラーニングには介護福祉士国家試験を想定した一問一答が1,000問ほど用意されていて、20問までは無料で試せるようになっています。覚えたつもりになっている部分が、実際に問題として出されたときにきちんと答えられるかどうかを確かめるには、こうした形式がちょうどよいと思います。受験資格や試験の詳しい内容については、年ごとに変わることもあるため、公式の案内で確認しておくと安心です。

問題を解いていて分からないところが出てきたら、また介助の場面に戻って考え直す、というやり方を繰り返すと、知識と経験がずれにくくなります。暗記だけに頼らず、現場での動きと結びつけておくと、試験が終わったあとも実際の介助に活きる知識として残ります。

まとめ

「こころとからだのしくみ」は、新しい知識を一から覚える科目というより、普段の介助動作に名前と理由をつけていく科目だと捉えると、学びやすくなります。体位交換、食事介助、入浴介助、移乗介助など、日々の場面を思い浮かべながら読み進めてみてください。短い時間で読める教材を使い、理解が進んだら問題形式で確認する、という流れを無理のない範囲で続けていくのがおすすめです。

出典・参考

▶ 介護福祉士国家試験(社会福祉振興・試験センター)

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

※試験の日程・受験資格・出題範囲は年度によって変わります。必ず公式の案内をご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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