個別支援計画の記録、アセスメントから同意・交付・モニタリングまで

計画はできているのに、記録でつまずく

個別支援計画そのものは期日までに作成できているのに、いざ運営指導の場面で「アセスメントの根拠を見せてください」「ご本人への説明はいつ、どなたが行いましたか」と聞かれると、答えに詰まる管理者・サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の方は少なくありません。

計画書という成果物は残っていても、そこに至るまでの過程――誰が、いつ、何を根拠にその内容にしたのか――が記録として残っていないケースです。個別支援計画は一枚の書類ではなく、アセスメント、原案作成、本人・家族への説明と同意、交付、モニタリングという一連の業務の積み重ねです。この記事では、その一連の流れを記録としてどう残すかを整理します。

アセスメントの記録は「聞いたこと」と「判断したこと」を分ける

アセスメントの記録で起きやすいのが、本人や家族から聞いた内容と、サービス管理責任者が判断した内容が混ざってしまうことです。

たとえば「本人は就労を希望している」という一文だけでは、本人がそう話したのか、それとも職員が様子から判断したのかが分かりません。記録としては、

・本人の発言や家族からの情報(事実として聞いたこと)

・他の職種や記録物から得た情報(本人の様子、支援記録、関係機関からの情報)

・それらをふまえてサービス管理責任者がどう解釈したか

という三段階を分けて書くと、後から見返したときに根拠がたどれます。意思決定支援が必要な場面であれば、本人がどのように意思を示したか、示しにくい場合にどう工夫して確認したかも残しておくと、ガイドラインに沿った対応をしていることが説明できます。

アセスメントの実施日、実施者、場所も忘れずに記載します。自宅訪問なのか事業所内の面談なのかで、本人の状態の見え方は変わってきますので、その点も記録に含めておくと後々の振り返りに役立ちます。

原案から同意・交付までの記録は「いつ、誰が、どう説明したか」

アセスメントの次に抜けやすいのが、原案説明から同意、交付までのプロセスです。計画書自体に同意日や交付日の欄があっても、その日に「何を」「どう説明したか」までは書かれていないことが多く見られます。

最低限残しておきたいのは次の点です。

・原案を説明した日時と場所

・説明した相手(本人のみか、家族や後見人も同席したか)

・説明に使った資料(計画書原案そのものか、分かりやすく言い換えた資料か)

・本人や家族からの質問や意見、それに対する対応

・同意を得た日(署名・押印の日と、説明した日が異なる場合はその経緯)

・交付した日と方法(手渡しか、郵送か)

特に児童発達支援や生活介護など、本人への説明が難しい場面では、家族への説明内容とあわせて、本人にはどのような方法で伝えようとしたかを記録しておくことが大切です。説明をしなかったのではなく、本人の特性に応じた方法で伝える工夫をした、という記録を残すことが、意思決定支援の視点からも重要になります。

同意については、形式的に押印をもらうだけでなく、「内容を理解したうえでの同意かどうか」が問われる場面があります。説明の記録と同意の記録をセットで残すことで、この点を示しやすくなります。

モニタリングは「評価した日」と「次につなげた内容」を分けて書く

モニタリングの記録でよくあるのは、支援の様子をまとめただけで終わってしまい、計画の目標に対してどう評価したのかが書かれていないケースです。

モニタリングは、計画に立てた目標に対して、

・達成状況はどうか(できている、一部できている、できていない)

・その判断の根拠となった具体的な場面や記録

・次の計画にどう反映するか(継続、修正、終了)

という流れで記録すると、評価と次の計画作成がつながります。モニタリングの実施日、実施者、本人や家族への説明の有無もあわせて記載しておくと、一連の業務として説明しやすくなります。

モニタリングの頻度はサービス種別によって定められていますが、実施期間の管理が苦手な事業所も多いところです。実施すべき時期から大きくずれていないか、記録の日付だけでも定期的に確認できる仕組みを持っておくと安心です。

この一連の記録の考え方は、非常勤職員や経験の浅い職員にも共有しておきたい内容です。福ひろばラーニングでは、個別支援計画にかかわる記録の残し方を7分で読み終わるコースにまとめていますので、新しく担当になった職員の受講用としても活用いただけます。

まとめ

個別支援計画は、アセスメント・原案説明・同意・交付・モニタリングという一連の業務の積み重ねです。それぞれの段階で「いつ、誰が、何を根拠に、どう対応したか」を分けて記録することで、計画の内容だけでなく、そこに至るプロセス自体を説明できるようになります。運営指導でも、日々の振り返りでも役立つ考え方です。

出典・参考

▶ 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について(厚生労働省)

▶ WAM NET(福祉・保健・医療の総合情報サイト)

※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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