「発達と老化の理解」が覚えられない人へ 症状の現れ方から整理するコツ

介護の仕事をしながら介護福祉士の勉強をしていると、「発達と老化の理解」の科目でつまずく人は少なくないと思います。脳血管疾患、認知症、骨折、感染症、心不全……教科書に出てくる疾患名を一つひとつ暗記しようとすると、どれも似たような症状の説明に見えてきて、頭の中がこんがらがってしまう。休憩時間に参考書を開いても、覚えたはずの病名と症状がすぐに結びつかなくなる。そんな経験をしている方は多いのではないでしょうか。

実は、現場で働いている人ほど、この科目は暗記よりも「症状の現れ方」から入ったほうが覚えやすいところがあります。普段の仕事の中で、利用者さんの様子が普段と違うなと感じる瞬間が何度もあるはずです。その感覚と教科書の知識をつなげていくと、疾患名が自然と整理されていきます。

疾患名より先に「症状の出方のパターン」を押さえる

高齢者の疾患を覚えるときにまず押さえておきたいのは、若い人の病気とは症状の現れ方そのものが違うという点です。これは介護の現場にいる人なら感覚的にわかっていることだと思います。

例えば感染症の場合、若い人なら高熱が出て本人も「しんどい」とはっきり訴えますが、高齢者では熱があまり上がらず、代わりに食欲が落ちたり、いつもよりぼんやりしていたり、元気がなくなるという形で現れることがよくあります。これを「非定型的な症状」と呼びますが、試験対策としてはこの「非定型的」というキーワードを軸に、どの疾患がどんな形で非定型に現れやすいかをグループ分けして覚えると整理しやすくなります。

同じように、心不全では息苦しさよりも先に食欲不振や倦怠感が出ることがありますし、脱水でも喉の渇きの訴えが少なく、見た目にはわかりにくいまま状態が進むことがあります。こうした「本来出るはずの典型的な症状が出にくく、代わりに別の形で現れる」という高齢者特有のパターンを先に頭に入れておくと、個々の疾患の説明を読んだときに「ああ、あのパターンだ」とつながりやすくなります。

逆に、骨折のように症状がはっきり出やすいものは、高齢者ではむしろ「痛みを強く訴えない」「転倒したこと自体を覚えていない、あるいは言わない」というところが特徴になります。これも「典型的な症状が隠れる」という同じ枠組みで理解できます。疾患ごとに覚え方を変えるのではなく、まず「高齢者の症状はこういう出方をしやすい」という共通の型を持っておくと、暗記の負担がだいぶ軽くなります。

認知症と加齢によるもの忘れの違いも同じ考え方で整理できる

発達と老化の理解でもう一つよく出てくるのが、加齢によるもの忘れと認知症による記憶障害の違いです。ここもやはり「症状の現れ方」から入ると整理しやすいところです。

加齢によるもの忘れは、体験したことの一部を忘れる形で現れます。例えば朝ごはんの内容は思い出せなくても、朝ごはんを食べたこと自体は覚えている、というような現れ方です。一方で認知症による記憶障害は、体験そのものが記憶から抜け落ちる形で現れます。朝ごはんを食べたこと自体を覚えていない、という違いです。

こうした違いを「どちらが正しい説明か」という暗記ではなく、「体験の一部が抜けるか、体験全体が抜けるか」という現れ方の違いとして捉えると、試験の選択肢を読んだときに判断しやすくなります。現場で利用者さんの様子を日々見ている人にとっては、こうした現れ方の違いは体感としてすでに持っているものだと思います。その体感と教科書の言葉を結びつける作業が、この科目の勉強の中心になります。

勉強を進める中で、覚えた知識が試験問題としてどう出てくるのかを確認したくなる場面も出てくると思います。福ひろばラーニングでは介護福祉士国家試験の一問一答を1,000問用意していて、20問までは無料で試すことができます。「発達と老化の理解」の範囲だけを選んで解いてみると、自分がどのパターンを覚えられていて、どこが曖昧なのかが見えてきます。読むかたちのコースも7分で読み終わる分量でまとめているので、勤務の合間や通勤時間に少しずつ進めることもできます。

現場での気づきを勉強のきっかけにする

介護の現場では、「あれ、今日はいつもと様子が違うな」と感じる瞬間が日々あります。その違和感の正体が何なのかを知識として裏付けていく作業が、発達と老化の理解の勉強そのものだと思います。

逆に言えば、教科書だけを読んでいるとなかなか頭に入らない内容でも、現場での気づきと結びつけることで記憶に残りやすくなります。勉強時間が限られている中で効率よく進めたいときは、疾患名を一つずつ丸暗記するのではなく、まず「高齢者の症状はこう現れやすい」という大きな型を先に持ち、その型に個々の疾患を当てはめていくやり方が向いています。

資格取得を考えている方の中には、受験資格の詳細や試験の実施時期について気になる方もいると思います。この点は年によって変わることもあるため、詳しくは公式の案内をご確認いただくのが確実です。勉強の進め方そのものは、制度の細かい部分とは関係なく今から始められるので、気になったタイミングで少しずつ手をつけていくのがよいと思います。

まとめ

発達と老化の理解は、疾患名を個別に覚えるよりも「症状がどう現れるか」というパターンから入ったほうが整理しやすい科目です。高齢者特有の非定型的な症状の出方や、記憶障害の現れ方の違いを先に押さえておくと、個々の疾患の説明がつながりやすくなります。現場での日々の気づきは、この科目の勉強にそのまま活かせる材料です。無理に暗記を急ぐより、普段感じている違和感と知識を結びつけながら、少しずつ進めてみてください。

出典・参考

▶ 介護福祉士国家試験(社会福祉振興・試験センター)

▶ 高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査結果(厚生労働省)

※試験の日程・受験資格・出題範囲は年度によって変わります。必ず公式の案内をご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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