児童発達支援の5領域、記録と個別支援計画がつながらない理由

よくある場面、5領域シートが「書いて終わり」になる

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、アセスメントの段階で5領域、健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性を使っている事業所が多いと思います。様式自体はそろっていて、チェック欄もきちんと埋まっている。ところが、その先の個別支援計画を見ると、目標の文章と5領域のチェックがうまく重ならない、という相談をよく受けます。

ありがちなのは、アセスメント時点では5領域で丁寧に状況を見ているのに、個別支援計画を作る段階で「本人の困りごと」をざっくりとした言葉にまとめてしまい、どの領域に対応する目標なのかが曖昧になるパターンです。さらに日々の支援記録になると、5領域の言葉はほとんど出てこず、「落ち着いて過ごせた」「活動に参加できた」といった感想のような記述に戻ってしまう。これでは、モニタリングのときにアセスメントまで遡って見直す作業が毎回発生し、担当者によって解釈がばらついてしまいます。

5領域は、本来はアセスメントから個別支援計画、日々の記録、モニタリングまでを貫く共通言語になるはずのものです。入口でしか使われていないとしたら、仕組みとしてはもったいない状態だと言えます。

個別支援計画の目標は、どの領域に紐づくかを明記する

つなぎ方の起点になるのは、個別支援計画の長期目標・短期目標を書くときに、どの領域に対応する目標なのかを明記しておくことです。様式に専用の欄がなくても、目標の横にカッコ書きで領域名を添えるだけでも違います。

たとえば「集団活動の中で順番を待てるようになる」という目標であれば、人間関係・社会性に関わる目標であると同時に、認知・行動の要素も含むことが多いはずです。どちらか一つに無理に分類する必要はなく、主たる領域と、関連する領域を両方メモしておくと、支援員が日々の記録を書くときの手がかりになります。

この紐づけ作業は、サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者が一人で抱え込むより、日々の記録を書く支援員にも共有しておいたほうが機能します。目標がどの領域に紐づいているかを知っていれば、記録を書くときに自然とその観点が意識に残るからです。逆に、計画を作る人と記録を書く人の間でこの情報が共有されていないと、せっかくの5領域の枠組みが現場まで届きません。

研修でこの考え方を伝える機会がなかなか作れない事業所では、短い教材を使って全員に同じ説明を届ける方法もあります。福ひろばラーニングには、個別支援計画と日々の記録のつなぎ方を7分で読み終わるコースとして扱っているものがあり、新しく入った支援員に受講してもらうところから始めている事業所もあるようです。

日々の記録とモニタリングで、5領域に戻ってくる

目標と領域の紐づけができたら、次は日々の記録です。毎回すべての領域について書く必要はありませんが、その日の支援の中で特に動きがあった領域について、具体的な場面とあわせて記録しておくと、モニタリングのときに振り返りやすくなります。

ここで大切なのは、「できた・できなかった」という評価だけで終わらせず、どんな場面で、どんな関わり方をしたときにその様子が見られたのかを残すことです。たとえば言語・コミュニケーションの領域であれば、単に「発語が増えた」ではなく、どんな活動のどんな場面での発語だったのかが分かると、次の支援の組み立てに使えます。

モニタリングの段階では、個別支援計画で設定した領域ごとの目標に対して、日々の記録を読み返しながら進捗を確認する流れになります。このとき、記録が領域ごとに整理されていると、モニタリング会議や保護者への説明の準備が格段に楽になります。逆に記録が感想文のようになっていると、支援員の記憶に頼って振り返ることになり、根拠を示しにくくなってしまいます。

モニタリングで見えてきた変化は、次のアセスメントにも反映させます。5領域のどの部分が伸びてきたか、どの部分に新しい課題が出てきたかを整理し直すことで、次の個別支援計画の目標設定がより具体的になります。この循環ができている事業所は、運営指導のときにも計画と記録のつながりを説明しやすい状態になっています。

まとめ

5領域は、アセスメントの入口だけで使うものではなく、個別支援計画の目標設定、日々の記録、モニタリングまでを貫く共通の物差しとして機能させることができます。目標にどの領域が紐づくかを明記し、日々の記録でその領域に触れ、モニタリングで再び領域に戻って振り返る。この流れを支援員全員が共有できているかどうかが、記録の質を左右します。

出典・参考

▶ 障害児支援(こども家庭庁)

▶ 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について(厚生労働省)

▶ WAM NET(福祉・保健・医療の総合情報サイト)

※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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