認知症介護基礎研修の義務化、無資格者の受講管理を仕組みにする方法

「誰が未受講か」がわからなくなる

新しく人が入るたびに、管理者の頭の中では「この人は初任者研修を持っているか」「実務者研修は」「無資格なら基礎研修の対象か」という確認が走ります。ところが忙しい時期が続くと、この確認が後回しになり、気づけば無資格の職員が何人いるのか、そのうち誰が認知症介護基礎研修を終えているのか、名簿だけでは把握しきれなくなることがあります。

認知症介護基礎研修は、介護に直接従事する無資格の職員を対象に受講が求められているものです。対象範囲や経過措置の扱いはサービス種別や自治体によって異なるため、詳細は指定権者にご確認ください。ここで押さえておきたいのは、対象者の判定と受講状況の管理を「その都度考える」ものから「決まった手順で回す」ものに変えることです。判定を毎回一から考えていると、判断がぶれたり漏れが出たりします。

なぜ仕組みが必要なのか

義務化された研修は、受けているかどうかを事業所側が説明できる状態にしておく必要があります。運営指導で確認される項目に研修記録が含まれることは珍しくありませんし、何より新しく入った職員が認知症のある利用者と接する前に、最低限の知識を持っているかどうかは、現場の安全にも関わります。

問題は、対象者の判定が入職時の一度きりで終わらないことです。パートから常勤に変わった、資格を後から取得した、他部署から異動してきた、といった変化のたびに、対象者かどうかは変わり得ます。年に一度の棚卸しだけでは、その間に生じた対象者の漏れに気づけません。だからこそ、判定のタイミングをあらかじめ決めておく仕組みが要ります。

受講管理を仕組みにする三つの場面

対象者の判定と受講管理は、次の三つの場面に紐づけておくと運用しやすくなります。

一つ目は入職時です。雇用契約を結ぶタイミングで、資格の有無と保有資格を確認する項目を採用手続きのチェックリストに組み込みます。無資格であれば、その場で認知症介護基礎研修の受講予定日を決めてしまうと、後回しにならずに済みます。

二つ目は異動・雇用形態変更のタイミングです。パートから常勤への切り替え、部署異動などで対象になる可能性がある人を、人事の手続きフローの中で拾い上げる項目を一つ足しておきます。判定を人事担当者の記憶に頼らず、書類の項目として残すことがポイントです。

三つ目は定期棚卸しです。半年に一度など、決めた周期で全職員の資格と受講状況を一覧にして見直します。この時に大事なのは、対象者リストと受講済みリストを別々に持つのではなく、一つの名簿に「資格の有無」「受講日」「未受講の理由」まで並べて管理することです。誰が見ても状況がわかる形にしておくと、担当者が変わっても引き継ぎがしやすくなります。

記録の残し方と受けやすさ

受講状況を管理する仕組みができても、実際に受けてもらえなければ意味がありません。無資格の職員は現場のシフトに入っていることが多く、まとまった時間を確保しづらいのが実情です。集合研修の日程に合わせるのが難しい場合は、短い時間で完結する学び方を選ぶ事業所も増えています。

弊社が提供している福ひろばラーニングは、読むかたちのeラーニングで、7分で読み終わるコースを中心に構成しています。休憩時間や勤務の合間に少しずつ進められるため、シフトが不規則な職員でも受講の予定を組みやすく、受講履歴もシステム上に自動で残ります。管理者が一人ひとりの進捗を確認する手間を減らせる点も、対象者が多い事業所では助けになります。

どの方法を選ぶにしても、受講した日付と内容を記録として残しておくことは変わりません。修了証の保管場所を決めておく、名簿に受講日を転記するタイミングを決めておくなど、記録を残す手順まで仕組みの一部にしておくと、後から確認を求められたときにも慌てずに済みます。

まとめ

認知症介護基礎研修の対象者は、入職時だけでなく異動や雇用形態の変更でも変わり得るため、判定のタイミングをあらかじめ決めておくことが仕組み化の出発点です。入職時・異動時・定期棚卸しの三つの場面に判定を紐づけ、対象者と受講状況を一つの名簿で管理すると、担当者が変わっても抜けが出にくくなります。受講の方法は現場の勤務形態に合わせて選び、記録を残す手順まで含めて仕組みにしておくことが大切です。

出典・参考

▶ 介護福祉士国家試験(社会福祉振興・試験センター)

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

▶ WAM NET(福祉・保健・医療の総合情報サイト)

※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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