年間研修計画の立て方|月ごとの割り当て順と事業所別の調整点

4月、白紙の年間予定表を前にして止まる

新年度が始まって、研修の年間計画表を作る時期になると、管理者や教育担当の手が止まることがあります。法定研修として実施しなければならないものがいくつもあり、それに加えて職員のスキルアップのための研修も組みたい。しかし何を何月に置けばいいのか、順番の決め手がなく、結局前年度の計画をそのままコピーして日付だけ変える、という事業所も少なくないと思います。

前年度の踏襲が悪いわけではありません。ただ、同じ並びを続けていると、本来は時期を意識して実施した方がいい研修が、実態に合わないタイミングで配置されたままになっていることがあります。感染症対策を流行期が過ぎたあとに実施していたり、身体拘束の研修が年度末に駆け込みで行われていたり、という状況です。年間計画を見直すタイミングで、月ごとの割り当てを一度組み直してみる価値はあります。

月ごとの割り当てには考えやすい順番がある

年間を通して研修を配置するとき、いくつかの軸で考えると順番が決めやすくなります。

まず年度始めの4〜5月は、新しい体制がスタートする時期です。新しく配属された職員への基本的な研修、虐待防止や権利擁護に関する内容を置くと、体制の土台を早い段階で共有できます。虐待防止委員会や身体拘束適正化委員会での周知事項も、この時期に一度まとめて共有しておくと、年度を通した運用がしやすくなります。

夏前後は感染症対策の研修を置く事業所が多い時期です。流行期に入る前に基礎知識と対応手順を再確認しておくことで、実際に発生した際の初動が整います。感染症対策の実施回数はサービス種別や自治体によって要件が異なるため、指定権者にご確認いただくのが確実です。

秋から冬にかけては、身体拘束適正化やBCPの机上訓練など、少し重めの内容を置くのに向いています。夏の繁忙期が落ち着き、職員が研修に時間を割きやすくなる時期だからです。BCPは年1回以上の見直しや訓練が求められますが、こちらも細かな要件はサービス種別によって違いがあるため、確認が必要です。

年度末の1〜3月は、情報公表の更新や処遇改善加算の研修記録の確認など、書類まわりの整理を兼ねた時期にするとよいと思います。1年間の研修記録を見返しながら、次年度の計画のたたき台を作る作業も、この時期にまとめて行うと引き継ぎがしやすくなります。

こうした月ごとの割り当てを考えるとき、法定研修と任意研修を同じ表に並べて、どの月にどのテーマを置くか検討する作業自体に時間がかかります。福ひろばラーニングは読むかたちのeラーニングで、1コースが7分で読み終わる長さになっているため、月ごとに割り当てたテーマに合わせてコースを選び、職員が自分の都合で受講する、という使い方がしやすくなっています。研修を実施した記録も残るので、年度末の記録確認の負担を減らす助けになります。

事業所別に変えるところ

月ごとの順番の考え方は共通して使えますが、サービス種別によって重点を置く内容は変わってきます。

通所介護であれば、入浴介助や送迎時の安全確認、レクリエーション中の事故防止といった、集団でのケアに関わる内容が年間を通して重要になります。利用者が複数同時に事業所内にいる状況を前提にした研修が中心になります。

一方、自費の訪問リハビリのように、職員が利用者宅に一人で訪問する形態では、研修の重点が変わります。単独訪問時に判断に迷う場面への対応、緊急時の連絡手順、利用者宅という私的な空間でのハラスメントへの対応など、一人で状況に向き合う場面を想定した内容を厚くする必要があります。自費サービスであることから、サービス内容や料金についての説明を職員がきちんとできるようにしておくことも、研修計画に含めておきたい項目です。

同じ月に同じテーマを置くとしても、通所介護向けと訪問リハビリ向けでは具体的な場面設定や演習の内容を変える必要があります。事業所の規模によっても、集合研修を組みやすいか、個別に読んで受講する形にせざるを得ないかが変わってくるので、年間計画を立てる段階でその点も考慮しておくと、実際の運用で無理が出にくくなります。

まとめ

年間研修計画は、年度始めに体制の土台を固め、流行期前に感染症対策、繁忙期が落ち着いた時期に重めの研修、年度末に記録と次年度への引き継ぎ、という順番で考えると組み立てやすくなります。そのうえで、通所介護と訪問リハビリのように提供形態が違う事業所では、同じ月のテーマでも重点を置く場面を変える必要があります。毎年同じ並びをそのまま使うのではなく、一度立ち止まって月ごとの意味を確認してみることが、計画を実態に合わせていく第一歩になります。

出典・参考

▶ 介護職員の処遇改善(厚生労働省)

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

▶ WAM NET(福祉・保健・医療の総合情報サイト)

※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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