複数事業所の研修管理、拠点ごとの実施状況を本部はどう把握するか

ある月末の光景

月末に各事業所から研修の実施報告を集める。A事業所は今月分がきちんと揃っている。B事業所は半分しか出てこない。C事業所に至っては「今月はシフトが厳しくて来月にまとめてやります」という連絡が来る。本部の教育担当としては、全拠点で同じ研修を同じ時期にやってほしいのですが、現場の忙しさや管理者の意識の差で、実際には大きな差が出てしまいます。

これは特別な法人の話ではなく、複数の事業所を運営している介護・障がい福祉の事業者であれば、多かれ少なかれ経験のあることだと思います。本部が「研修をやってください」と年間計画を配っても、実施するかどうか、記録を残すかどうかは、最終的に各拠点の管理者やリーダーの手に委ねられます。本部から見えるのは、提出された記録だけです。提出されなければ、実施されたのかどうかすら分かりません。

ばらつきが生まれる理由を分解する

拠点ごとの差は、単に「やる気の差」で片付けられるものではありません。いくつかの要因が重なっています。

一つ目は、拠点の規模と人員体制です。常勤が多く余裕のある拠点と、非常勤中心で出勤日がばらばらな拠点では、研修を集める難易度がまったく違います。

二つ目は、管理者の優先順位です。運営指導や利用者対応に追われていると、研修は後回しにされがちです。これは管理者の資質というより、業務量の問題であることが多いです。

三つ目は、記録の形式が統一されていないことです。ある拠点は紙の出席簿、別の拠点はExcel、また別の拠点は口頭報告のみ、という状態だと、本部が集計すること自体に時間がかかります。報告を求める本部側の負担が大きいと、督促も後回しになり、結果として放置される期間が長くなります。

こうした要因を踏まえると、「各拠点にもっと頑張ってもらう」という精神論ではなく、仕組みの側を見直す必要があると分かります。

本部が把握すべき情報と、集め方の工夫

本部が最低限押さえておきたいのは、次のような情報です。

  • どの職員が、どの研修を、いつ受講したか
  • 未受講の職員が誰で、あとどれくらいいるか
  • 拠点ごとの受講率に差がないか

これを紙やExcelで拠点ごとにバラバラに集めていると、集計だけで数日かかってしまいます。拠点数が増えるほど、この作業は本部の負担として重くのしかかります。

一つの方法として、研修の実施記録を一元管理できる仕組みに切り替えることが挙げられます。拠点ごとに別々の台帳を作るのではなく、法人全体で一つの管理画面を見れば、どの拠点の誰が何を受講済みで、誰が未受講かが分かる状態にしておくと、本部の確認作業はかなり楽になります。

また、記録の形式を統一しておくことも大切です。研修名、実施日、対象者、理解度確認の結果といった項目を、どの拠点も同じフォーマットで残すようにしておくと、運営指導が入ったときにも慌てずに説明できます。処遇改善加算のキャリアパス要件に関わる研修記録についても、様式がバラバラだと確認に時間がかかりますので、早めに統一しておく方が安心です。

読むかたちのeラーニングで進捗を可視化する

当社が提供している福ひろばラーニングは、職員がすきま時間に読んで学べるeラーニングです。1コースあたり7分で読み終わる長さにしているので、非常勤職員やシフトがばらばらな拠点でも、出勤時に少しずつ進めてもらいやすくなっています。

この仕組みのもう一つの利点は、本部側から全拠点の受講状況を一覧で確認できることです。拠点ごとに「今月は何人受講したか」「未受講者は誰か」を個別に問い合わせる必要がなく、管理画面を見れば進捗のばらつきがすぐに分かります。遅れている拠点があれば、早めに声をかけることができますし、逆にきちんと進んでいる拠点のやり方を他拠点に共有することもできます。

もちろん、これだけで研修のすべてが解決するわけではありません。実技を伴う研修や、事例を踏まえた話し合いは、やはり対面やオンライン会議で行う必要があります。読むかたちのコースは、知識の土台を全拠点で均一に揃える部分を担うものと考えていただくのが良いと思います。

まとめ

複数拠点の研修管理で起きるばらつきは、やる気の差ではなく、記録の集め方や仕組みの差から生まれていることが多いです。本部が把握すべき情報を整理し、記録の形式を統一したうえで、進捗を一覧で確認できる仕組みを取り入れると、督促の手間も減り、拠点間の差にも早く気づけるようになります。まずは自法人の記録がどこでバラついているか、棚卸しすることから始めてみてください。

出典・参考

▶ 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

▶ WAM NET(福祉・保健・医療の総合情報サイト)

※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。

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この記事の監修
監修者 塙 啓之
塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県でデイサービスなどの介護事業所を運営。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。現場と経営の両方の視点から、福ひろばラーニングの全コース・記事を監修しています。

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