外国人介護スタッフにも法定研修は必要?受講方法と記録の残し方
外国人スタッフの研修、日本人と同じでいいのか迷っていませんか
技能実習生や特定技能の外国人スタッフを受け入れたとき、研修の扱いで立ち止まる管理者の方もいるのではないでしょうか。日本語がまだ十分でないスタッフに、他の職員と同じ研修を同じように受けてもらっていいのか、それとも何か特別な配慮や別枠の扱いが必要なのか。登録支援機関や監理団体の担当者からも、受け入れ事業所にどう説明すればよいか悩むという話を聞くことがあります。結論から言うと、研修の義務そのものは国籍や在留資格で区別されていません。ただし「受けてもらい方」と「記録の残し方」には工夫のしどころがあります。
法定研修は国籍にかかわらず対象になる
指定居宅サービス等の運営基準では、訪問介護事業者に対して、業務継続計画(BCP)に関する研修・訓練、感染症の予防およびまん延防止の研修・訓練、虐待防止の研修を定期的に行うことを定めています。対象は「訪問介護員等」とされ、国籍や在留資格による区別は書かれていません。
通所介護などでは、看護師・准看護師・介護福祉士・介護支援専門員などの資格保有者を除くすべての従業者に、認知症介護基礎研修を受けさせる措置が義務づけられています。厚生労働省のQ&Aでは、外国人介護職員についても、EPA介護福祉士や在留資格「介護」などの医療・福祉の有資格者を除き、人員として数えられ直接介護に携わる可能性がある人は、在留資格にかかわらずこの義務の対象になるとされています。つまり技能実習生や特定技能のスタッフも、無資格であれば他の職員と同じく受講対象です。
なお解釈通知では、介護福祉士のほか、介護職員初任者研修・実務者研修・生活援助従事者研修の修了者、社会福祉士なども義務の対象外とされています。新たに採用した無資格の従業者には採用後1年の猶予があり、1年以内に受講させることになっています。経過措置により令和6年3月31日までは努力義務でしたが、現在は義務です。
技能実習生に認知症介護基礎研修を受けさせる場合、法令に基づく義務なので技能実習計画への記載は不要です。受講中の給与や時間の管理は通常の実習と同様に行い、受講状況は技能実習指導員が管理します。ただし入国後講習の期間中は業務に従事させないため、この期間に受講させることはできません。受け入れ直後のスケジュールを組むときは、入国後講習が終わってからの受講時期を見込んでおく必要があります。
言葉の壁がある人にどう受けてもらうか
同じ研修内容でも、説明の言葉が伝わらなければ受けたことになりません。出入国在留管理庁と文化庁の「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」は、①日本人にもわかりやすい文章にする、②言葉をやさしく書き換えたり漢字にふりがなをつけたりして外国人にもわかるようにする、③日本語教師や外国人に確認してもらう、という3ステップを示し、すべての漢字にふりがなをつけることを勧めています。研修資料を作るとき、このステップをそのまま使えます。
厚生労働省の補助事業では、介護福祉専門用語集(英語・ベトナム語・インドネシア語など14言語)や、介護の基本的なことばや声かけを学ぶ「介護の日本語」テキスト(日本語版と多言語対応版)が公開されています。研修の前提として、まず専門用語そのものを理解してもらう段階が必要な場合、こうした資料を併用する事業所もあります。
研修内容の理解を助ける教材として、福ひろばラーニングでは介護職初級の15コースを英語・ベトナム語・インドネシア語・ミャンマー語・中国語で読むことができます。読むかたちのeラーニングで、7分で読み終わるコースを自分のペースで受講できる構成です。ただしこれは認知症介護基礎研修やBCP研修そのものの代わりにはなりません。法定研修は別途、指定された内容・方法で実施する必要があります。
記録には何を残せばよいか
解釈通知(令和3年改正)では、訪問介護の虐待防止研修について、指針に基づく研修プログラムを作って年1回以上行い、新規採用時には必ず行うことが重要とされています(特定施設入居者生活介護は年2回以上)。感染症とBCPの研修も年1回以上、新規採用時の実施が望ましいとされ、訓練も年1回以上行うこととされています。いずれも研修の実施内容を記録することが求められています。
厚生労働省の運営指導マニュアル(令和6年7月改訂)の確認文書では、「研修の計画及び実績がわかるもの」(勤務体制、BCP、虐待防止)と、「感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練の実施状況・結果がわかるもの」が挙げられています。外国人スタッフについて特別な様式が必要というわけではなく、他の職員と同じ記録の中に、受講日・内容・理解度の確認方法を残しておけば足ります。言葉の壁がある場合は、どんな資料や通訳を使って伝えたか、理解確認をどう行ったかも一言添えておくと、運営指導のときに説明しやすくなります。
技能実習生については、受講状況の管理を技能実習指導員が行うことになっているため、介護記録とは別に技能実習側の管理表とも突き合わせておくと、どちらの記録も整合性が取れます。最新の在留資格や受け入れ要件の詳細は、出入国在留管理庁・厚生労働省の案内でご確認ください。
まとめ
外国人スタッフの法定研修は、国籍や在留資格にかかわらず日本人と同じ義務の対象です。違うのは伝え方で、やさしい日本語や多言語の資料を使って理解を助ける工夫が必要になります。記録は他の職員と同じ様式でよく、どう伝えたか・どう理解を確認したかを一言残しておくと、後から振り返りやすくなります。
出典・参考
▶ 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令検索)
※制度の取り扱いは改定や自治体の運用で変わることがあります。実際のご対応は指定権者にご確認ください。
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